圧倒的に綺麗な小説である。
いや、『綺麗』とは違う『透明感』『清潔感』に圧倒される小説である。
こまった。すでにBook of The YEAR 2014のエントリーは予約済みなのに...(^^;)ハハハ。
今年最後の最後に最後の大物に出会ってしまった。
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また、なんなんだ?と理解に苦しむ小説でもある。
機械帝国との戦争が生み出した人類の最終兵器、一つの星を制御するAI、舞台はどこを読んでもSFである。
機械と人類の戦争というSFではありふれた世界の話であり、血なまぐさい表現や、グロい表現もそこかしこに存在する。
この小説は清潔感に溢れている。
戦争の戦闘シーンに多くは割かれていない。
しかし、生命の営みとともに繰り返される排泄、摂取といった表現はそこかしこに描かれている。
緻密な表現がされているにも関わらず、頭の中でイメージされるのはシュールレアリズムの絵画のよう。
この小説は血肉、体温が感じられず、徹底的に無機質で透明感に溢れ、綺麗なのである。
まるで、その根っこにどれだけの悪意を潜ませていても、汚れのない出で立ちで微笑んでいる、男女の性差が現れる前の少年少女のように......。
こんな小説は初めてだ。作者の想像力、筆力に大人しく跪き、惑星カリタスで繰り広げられる神の手管をただ目撃するしか読者のすることは無い。
今年最後のオススメ本です。
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