昨年あたりから、こんな記事をよく目にするようになった。
ありえないっ!?
池袋がそんな注目を集めるはずがないっ!!
昨年の夏まで池袋文化圏に7年半住み続けたボクがいうのだから絶対であるっ!!!
「2014年上半期 全国住みたい街ランキング(関東エリア編)」ではなんと堂々の首位。また、リクルート住まいカンパニーの「住みたい街ランキング2014」では関東枠で、1位の吉祥寺、2位の恵比寿に続いて第3位と健闘。
こんなもの、ファッション業界を牛耳るお偉方のシンジケートが来年の流行色は何色にいたしましょう?と作り上げた流行をファッション業界が垂れ流すと同様、不動産業界が仕掛けた釣りネタでしかない。
なにより、昨年のもう一つの池袋ネタであるが、『豊島区は消滅可能性都市』なのですっ!
東京23区内で唯一人口減少がもたらす消滅都市としてもその名前が挙げられている。
それが『池袋』。
人口減少で消滅どころか、その前に財政破綻で近隣区に吸収合併されてしまう運命を担わされている。
それが『池袋』。
なのである。こんな薄っぺらい不動産業界の陰謀にのせられてはいけない!
自分が住みたい街はしっかり自分の目と耳でちゃんと把握すべきなのである。
ということで、都内生活27年、うち7年半を池袋文化圏で暮らしたボクがこの『池袋』という街の位置づけをご紹介しんぜよう!とするものである。
『池袋』という街の成り立ち
その昔、かの泉麻人は都内三大副都心をこう表した。(以前のエントリーでも触れましたが…(^^;)ハハハ。)
池袋は『点』の街である。池袋駅及びサンシャインの中で事足りる。
渋谷は『線』の街である。渋谷駅から広がる道玄坂、公園通り、センター街、ファイアー通りと通りに沿って街が伸びている。
新宿は『面』の街である。駅及び新宿通り周辺、歌舞伎町、西口高層ビル街とブロックが隣り合って形成されている。
まことに的確な表現である。
この通り、池袋とは『点』の街なのである。
その由来は、ここ池袋を牙城とした私鉄の両雄、西武鉄道と東武鉄道の戦略によるモノだ。
彼らは鉄道会社である。山手線より西の郊外に住宅地を設け、自分たちの沿線に乗っけて、ターミナルである池袋に人を運ぶ。それが、彼らのコア戦略なのである。
従って、彼らが執着するのはあくまで駅なのである。
駅に大きな百貨店を設け、買い物をさせ、家路には彼らの鉄道を利用してもらう。
そうやって収益を得るモデルなのである。
それ以上の『街』作りという発想が持てなかったことが、この街の残念なところなのである。
かたや、新宿や渋谷はどうであろう?
新宿は60年代半ばから70年代半ばに駆けて、銀座に対するカウンターカルチャー、若者の街として自主的に産声を上げ、全国から人が集まって自然発生的にサブカルチャーが芽吹いた街である。
また渋谷は新宿が若者の街としての勢いを落とすタイミングで、東急の五島一族や西武のPARCO文化といった、企業主導で『文化』を根付かせて出来上がった街である。
それに比べて、池袋は住居と駅というポイント間を鉄道に乗ってもらう以上でも以下でもない。思想がない街なのである。
故に、駅をちょっとでも離れるとただの下町以上のものでは無くなるのだ。
また、池袋の成り立ちをさらに進めると、当初池袋は西武池袋線、東武東上線といった沿線上の住民、多くは埼玉西部の人間が運ばれてくる駅であった。
駅にはそれぞれの百貨店、『東に西武、西に東武』というわけわからない位置でありつつも、埼玉西部の人間に『東京の文化』の匂いを嗅いでもらうショーケース的な街だった。
それが一変するのはもう一つの鉄道会社の本格参入である。
上越新幹線&東北新幹線の高架化反対運動に手こずった当時の国鉄がバーター取引で新設した通勤新線(開業時埼京線)により、池袋という街の位置づけは大きく変わるのである。
埼京線開通まで国鉄(現JR東日本)が埼玉県民に対する都内のショーケースは赤羽だったのである。それ以上池袋まで埼玉県民が踏み込むためには赤羽線に乗り換えねばならなかったのである。
それが、埼京線開通により一気に池袋までなだれ込む動線が確保されたのである。しかも、大宮、浦和といった埼玉の商圏のほとんど及びその住民を抱える都市を一本で都内に繋げてしまうという愚挙を犯したのである。
これにより、池袋はせいぜい埼玉西部の人間がドキドキしながら都内を見学する場所から、全埼玉県民による民族大移動に晒される自体を引き起こす。
埼京線開通により池袋はただのプチ都内ショーケースから埼玉県の飛び地、埼玉県の占領地に成り下がる。いや、都内屈指の副都心として新宿、渋谷に並び称されるにも関わらず、他の2都市とは生業が異なる都市として位置づけがよくわからないまま、バブル以降その存在をみな見て見ぬ振りをしてきた街なのである。
そう、池袋とは都内にありながら、『都内最大の地方都市』なのであるっ!!!
『池袋』の真の姿とは?
そんな成り立ちの都内最大の地方都市池袋に対して、群馬の田舎から出てきた大学生のボクはどういう印象を持っていたか?
正直、なんの印象もない。
都内での初めての一人暮らしにあたり、新宿、渋谷といったメジャー処には憧れていたモノの、池袋という街が選択肢に入った記憶はいっさいない。
大学が明治大学だったため、遊びに行くとしても新宿、渋谷、下北沢。せいぜい吉祥寺や三軒茶屋くらいまで。
当時の彼女が埼京線沿線だったため、なんかの気の迷いで途中の池袋で年に1、2回落ち合うくらいの街であった。
そんな風に無視し続けてきたボクがなぜ池袋文化圏内に住居を移すことになったのか?
それはうちの相方さんが当時住んでいたのが小竹向原だったからである。
当時ボクは臨海副都心オープン時から12年間お台場で暮らしていた。ゆりかもめのお台場から有楽町線の小竹向原まで行ったり来たりするのが非常に面倒くさかったのだ。
お台場ももぉ〜ずいぶん住んだし、この街の張りぼてに張りぼてを重ねて大きくなっていく嘘くささに辟易していたので、引っ越しするのにちょうど良いと!
そして、ボクは同じ有楽町線沿いの要町に引っ越したのである。
ただ、うちの相方さんの近くに住むということ以外なんの考慮もしなかったので、気がつくと初めての池袋文化圏...(^^;)ハハハ。
その後、昨年夏に金沢に引っ越すまで要町6年、池袋1年半、計7年半も池袋を中心に生活するなど思いもよらなかったのである。
池袋という街には先ほど書いた通り、なんの思想もない。
ただ、池袋という大手私鉄ターミナルの磁力というか、影響を受けている『圏』というものは明らかに存在し、それをボクは『池袋文化圏』と読んでいる。
池袋文化圏とは、池袋駅を中心に南北はJR山手線、東西は有楽町線の沿線駅となる。
『北は大塚、南は目白、東は東池袋、西は要町』このあたりまでが、池袋の影響範囲のせいぜいなところである。
影響範囲といっても、新宿や渋谷のように道や面で街の思想が形成されているわけではない。
ただ道が繋がって歩ける範囲というだけのことである。
この辺を前出の記事などを鵜呑みにしておしゃれタウンだとか勝手に勘違いされては大変困るのである。
道の道中、たいした楽しみはなにもありはしない。次第にお店の数が少なくなり、駅が近づくにつれてお店がまた増えてくるというだけの変化である。
全国津々浦々の地方都市の出来映えとなにも変わっちゃいないのである。
また、以前繁華街の成り立ちについてこんなエントリーを書いた。
都内最終地、池袋でのボクらの住処は池袋西口繁華街を抜けたブロックにあった。
うちのブロックよりも先は住宅地が広がっているのだが、ボクのうちのブロックから駅に向かって徒歩2分もしないうちにホテル街に突入する。
そんなステキな繁華街周辺では、新宿や渋谷の繁華街のような凶悪犯罪はあまり発生しないが、ひったくり、詐欺、こそ泥といったスケールの小さい犯罪は多々存在する。
たとえば、以前こんなことがあった。
前のマンションのベランダは表通りではなく裏路地に面しており、ボクは煙草を吸うときはベランダで吸うことにしていた。
ある日、ベランダに出て煙草を吸っていると裏路地を左から右に向かって、
『あ゛ぁ〜まってぇ〜〜〜っ!?どろぼぉ〜どろぼお〜〜〜っ!?!?』
と叫ぶおばちゃんの声だけが通り過ぎていった...。
一年半の生活の中でこのような珍事を三度ほど耳にしている。
また、暇なかたは池袋西口のルノアールやら他の純喫茶系の喫茶店で午前中2時間ほどなにもせずに、周囲の会話に耳を澄ませて集中してみるといい。
怪しい商品のネズミ講まがいのセールスやら、プリペイドケータイの販売やら、まるで喫茶店を自分の事務所かの如く長時間占拠して、胡散臭い商売をしているグループが絶対2、3組いるはずである。
そういえば、全国ニュースに取り上げられるような犯罪もあったあった!
昨年話題になった合法ドラッグである。合法ドラッグでラリって車を暴走し、池袋北口で数名もの死傷者を出す事件が起きた。
電柱にぶつかって暴走車が止まったカラオケや前はボクの通勤路であり、あの日1時間ほど前に通り過ぎた場所なのである。
さらに現行犯逮捕された犯人に合法ドラッグを販売していたお店が入っているマンションは、よく利用していたGEOのマンションだったのだ。
池袋以外の街で是非是非ご検討ください。池袋はオススメできません。
これほどの犯罪都市である。安心して住めるわけないでは無いではないかっ!?!?
なので、不動産業界のネタに釣られずに是非ほかの街をご検討いただきたい。
よろしくお願いいたします。
じゃないと、2年後ボクが都内に戻るときに池袋の地価が上がってしまって、前の場所で暮らせなくなってしまいます。
そんな池袋ですが、ボクは池袋をこよなく愛しているのです。
なぜなら、三大副都心の一つでありながら、『都内最大の地方都市』であるということ。
それでいながら、池袋にしかない使命というか、池袋ならではの役割というものが実はあるのです。
それは、全国の商品の実験場であるということ。
なにかというと、池袋というお土地柄には以下の特徴があるということで、新商品を販売する際に地域限定でまず試すのにちょうどいいということなのだ。
- 周りから人が集まるだけで生活がない都市ではなく、まがいなりにもジモティがいる点
- 埼玉を中心に池袋に集まる一定のファミリー層が存在する点
- 立教大を中心とした学生層や女子高生層といった存在が見込める点
- ジモティだけでなくビジネスで池袋に集まる人が一定層存在する点
ということで、ようはリサーチするにあたってちょうど良い母数で様々な立場の層が存在するんでパイロット販売するのに適した街なのダそぉ〜だ。
それ以外にも、
B級というよりも限りなくC級にちかいディープタウン。
白人よりもアジア系、黒人系しか見かけない国際性。
なにもないくせに、なんかこいつ持っていやがると思わせる不可思議さ。
とりあえず、駅周辺で生活できてしまう利便性。
等々、街に思想がないからこその雑多性、それが池袋の魅力なのである。
なので、2年後無事に池袋にボクが戻れるよぉ〜に、みなさん池袋にこれ以上注目しないでくださいませm(._.)mm(._.)mm(._.)m