前回読んだ本があまりにも息苦しく。いまの子たちって大変だなぁ〜と気が滅入り気味だったので、心の平衡を保つために口直しである。
ボクらの時代はもっと単純だった。
教室の中では確かにグループはあったが、学校カーストというほど明確なランク付けがされていたわけでは無い。
各自それぞれ自分の気が合うメンバーで楽しくやれていたのだ。まだあの時代は。
そして、男子は総じておバカであった。
本書はあの大槻ケンヂの名作である。
今回で何度目だろうか?あまり繰り返して読むことの無いボクがすでに4、5回は読んでいる。
大槻ケンヂはボクの世代と比べるとお兄ちゃん世代だ。
丁度ボクらが中学生の頃、大槻ケンヂは高校生活を謳歌しているくらいの歳の差である。
なので、本書で描かれる黒所高校での学園生活の時代、ボクは近い将来すぐそこの桃色少年としてまさに芽生え始めている洟垂れ小僧だった。
本書冒頭で作者は高らかに宣言する。
「オレはダメだな~」と思っている
総ての若きボンクラ野郎どもへ、
心からの心を込めて、本作を贈る。
本書の主人公賢三にタクオ、カワボンの三人の共通点は、
「自分には何か人と違った能力がある、だがそれが何なのか今はわからない」
この青き性春時代のすべての若きボンクラ野郎の共通点はまさにこれであろう。
『自分は他人とは違う。違うはず。だよね、きっと...。』
でも、なにがどう違うのか?ということが明確では無い。
だから、日々悶々と過ごし、悶々はモンモンとなり、迸る情熱は体育教師が言う通りスポーツで昇華するなんぞついぞ思わず、右手の反復運動に向かうしか無いのである。
ボクも多聞に漏れずそうだった。
運動能力が高いわけでもなく、ヤンキーでもない当時の中高生が向かう先は、読書、音楽、映画の世界なのだ。
此処では無い何処かを探す旅は、日常の世界では無くコンテンツが提供する世界に向かうのである。
まだレンタルビデオという形態が整っていない当時では、ボクは本と音楽にそのモンモンは向かったのだ。ベストセラーからその世界に入っておきながら、次第に『ボクだけが解っている』というマニアックな方向にドンドン先鋭化する。
そして、しれっと『ボクはキミたちとは違うのさっ!フッ。』と周りを小馬鹿にするいけ好かないガキだった。
そんな当時の自分を思い起こさせる三名様の学園生活。
三部作である『グミ・チョコレート・パイン』の第一作目のグミ編の2/3はほぼオナニーの話である(笑)
そんな猿同様のオナニー三昧の日々から、此処では無い何処かへ真面目に考え出すきっかけまでが本書。
第二作以降はもう少し話が真面目に進みます。
是非、チョコレート編、パイン編まで呆れずに読み進んでいただくことをオススメします(笑)
角川書店
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