『なんでやろ?8番』
これまで何度か本ブログでも悪口(笑)を書かせていただいた8番らーめん。
知らない人もいると思うんで、改めてご紹介すると、8番らーめんとは、金沢を中心に北陸を席巻する巨大ローカルらーめんチェーン店のことである。
90年代以降、土地土地の地名を冠するご当地ラーメンの全国化が喧しい。
北陸でご当地ラーメンというと真っ先に思い浮かぶのが富山ブラック。
良いか悪いかは別として、富山のご当地ラーメンとして富山ブラックは全国的に名を知られるようになった。
では、8番らーめんは金沢のご当地ラーメンと言えるのか?というとおそらく誰もそうは思ってはいないだろう。
8番らーめんはあくまで、一企業が作るラーメンであって、金沢の他店も同じようなラーメンを作って、地域的に特徴のあるラーメン文化を作り出しているわけでは決して無い。
少なくとも金沢におけるラーメン事情としては8番らーめん一強なのである。
1店舗で美味しいお店は探せば実はある。
でも、金沢市民にらーめんを連想させるとおそらく限りなく100%近い金沢市民は8番らーめんを脳裏に思い浮かべるであろう。
県外の人がそんならーめん事情を聞いたら、さぞかし8番らーめんとはそれはそれは美味しいらーめんなんだろう!と期待に胸を弾かせんばかりになるであろう。
しかし、金沢赴任1年3ヶ月のボクが県外出身者の立場で言っておく。
8番らーめんは決して上手いらーめんではないっ!!!
わかりやすい例でいうと、都内には安くて不味くはないらーめんチェーンとして、福しんというチェーン店がある。
あの程度であるといえば伝わるだろうか?
しかも、8番らーめんの方が値段も高いし、従業員は都内に比べておっとりしているので、らーめんが出てくるのも福しんに比べて遅い。
これらを考慮すると、不味くはないらーめんを食べるのであれば安くて早い方がいい。
ボクであれば8番らーめんと福しんどちらがいいと言われれば、迷うことなく福しんと答えるであろう。
その程度の店であるとしか、県外出身者のボクとしては思えないのである。
なのに?なぜ??これほどまでに???
この辺りの歴史的な背景とかは是非以下のエントリーを一読していただきたい。
ジモティの愛に溢れた8番愛が感じられるエントリーである。
このエントリーで触れられていないのが、なぜにそれほどまでに8番???
という点である。
たまたまうちの近所に8番らーめんがあり、どぉ〜にもコォ〜にもお出かけ週末ランチする気が起きない時に仕方がなく食べに行くよぉ〜になりすぐさまその謎が解明した。
今となっては8番らーめんも駅ナカにも店舗があるが、そもそもその出自である8号線沿いの店舗展開から、8番らーめんは基本郊外の街道沿いに存在する。
なので、店舗はらーめんチェーン店の作りではなく、ファミレス仕様である。
そんな8番らーめんに週末ともなると金沢市民はファミリーで押し寄せるのである。
土日のランチタイム、うちの近所の8番らーめんも何故この程度のらーめんで行列ができるのだっ!?
と当初は首を傾げざるをえないほど、金沢市民が集まるのである。
しかも、おじいちゃんおばあちゃん、息子・娘夫婦、それに孫、孫、孫。
そう、金沢市民は週末ランチに三世代首を揃えて8番らーめんを食すのだ。
お店の中に1組、2組ではなく、お店の半分以上が三世代ファミリーチームという光景を見て、ボクはピンときたのである。
おじいちゃん、おばあちゃんは現役時代にまさに8番らーめん創成期に話題の8番らーめんを口にして、今までにない野菜炒め入りらーめんという話題性に目と舌を眩まされた1st世代である。
そんな当時現役のおじいちゃんおばあちゃん世代に、このらーめんはうまいんだぞっ!と連れまわされたのが現在現役の息子・娘の夫婦世代。
この2nd世代からはもはや、自分の自覚ある感覚ではない。
幼い頃からおじいちゃんおばあちゃん世代に、ここのらーめんは美味い旨いと連れまわされ、幼き時代より下の記憶に8番の味を刻み込まれた最初の世代である。
親元を離れたことのある貴兄であればご存知の通り、舌の記憶をいうものはまざまざと残っているものである。母親の味というものだ。
この舌の記憶に植え付けられたものからはそう簡単に逃げ出すことのできるものではない。
息子・娘世代にはすでにそんな舌の記憶が刻み込まれているのだ。
そんな両親のDNAを引き継ぎ、自らもさらに舌の記憶を刻み込まれ中であるのが、息子・娘世代の子供、1st世代の孫たちである。
産まれながらの将軍であるこの幼少の頃から2nd世代以上に猫かわいがれされるこれら孫世代の3rd世代は根っからの8番信者。
もはや、この一族は未来永劫8番の舌の記憶の虜囚となり続けるしかない、これはジモティでしかわからない、
『なんでやろ?8番』
と思考停止に落ち入り、自らの判断ができないまでに脳を侵されてしまうのである。
この傾向は世代が進むごとに強化されていくのだろう。
おかげで金沢を中心に北陸では他の大手らーめんチェーンは決して根付かない。
これほどまでに恐ろしいらーめん屋があるだろうか?
たかがらーめん、されど8番らーめんなのである。
これが、金沢市民には決して自覚できない、県外出身者から見た8番らーめんの真相である。
しかしっ!
最近、距離を置き続けてきたボクでさえ、8番の魅力に取り憑かれそぉ〜になっているのだ。
ここ数日のブログが麺類ばかりなのにお気づきの方もいるだろうが、今更ながらに夏バテなのか、ご飯ものよりも麺類でごまかそうという感じなのである。
しかも、あれだけこってり系が大好きだったらーめんにおいては、最近どぉ〜もあっさり系がお好みなのである...(^^)ハハハ。
どぉ〜も先日有楽町で食べた麺屋ひょっとこさんの和風柚子焼豚麺に味をしめたらしい(笑)
であれば、今8番らーめんを食べれば今までとは違った評価ができるのではないか?と。
否定的なベクトルではなく肯定的なベクトルで接すれば、自ずと道も開かれん!!
ということで、行き慣れたいつもの駅西の8番らーめんに行き、いつものオーダーを試して見たのでございます。
ちなみに、8番らーめんの基本メニューはこれね!
泣く子も黙る野菜らーめん。
これには塩、醤油、味噌、とんこつ、バターの5種類のスープが選べます。
この時点で、今までのボクであればらーめん専門店としてのカテゴリーからこんなお店は外します。
一つのスープですらその日の状況で変わったりするほど一所懸命に頑張っているらーめん職人さんがいるのに、一つのお店で5種類もプープを作るとはどんだけふざけているのかっ!らーめんをなめるなっ!!と言ってやりたい。
以前であれば(笑)
それに餃子やら、炒飯やら、唐揚げが付いたセットが基本。
麺類は他にもあれど、強いて言うなら唐麺は実は以前から気に入っていたメニュー(笑)
今はこんな小丼も出しているようで。
ただいま絶賛おすすめ中!なのがこの酸辣湯麺。
この日も2/3くらいのお客さんはこれ喰ってました。
いや、これ大げさなわけじゃなくてリアルにそぉ〜なんです。
それほど美味しいのか?というと所詮8番クオリティだと思うんで、推測するに金沢人は年がら年中8番らーめん食べるんで、通常メニューには飽きてるんだと思うんですよ。
なので、こういった季節限定メニューには気分転換に飛びつくのではないかと。
ちなみにここ駅西本町店にはカウンター、ボックス席の他に座敷もあります。
こういった広々とした座敷席におじいちゃんおばあちゃん、息子・娘、孫孫孫といった3世代が次から次へと押し寄せるのでございます。
そして、いつもの塩バターらーめん。
ちょいとくすんだ塩スープに炒めたキャベツの出汁が沁みわたったスープ。
家で作ったサッポロ一番塩ラーメンと何が違うんだっ!?
と問われると回答に困ります。系としてはまさにそれ。
それ以外の何物でもございません。
強いて言うなら、インスタントと生の違い。
それだけにお腹に与えるインパクトはこちらのほぉ〜が優しいのです。
少しは前向きに捉えられるよぉ〜になっても、まだ許せないのがこの麺。
8番らーめんではこの麺を太麺と呼ぶのです。
どう見ても、中細縮れ麺でしかないのに、何故恩着せがましくこれを太麺と呼ぶのか???
でも、金沢市民は物心つく前からこれを太麺として記憶していくからそんなことどぉ〜でもイィ〜のかもしれません......。
Bセットの炒飯。
いつからか8番らーめんは同じく地域発ローカルチェーン店の雄である長崎ちゃんぽんのリンガーハットと業務提携しているのです。
まさにこの炒飯はリンガーハットの炒飯と同じ。
もともとリンガーハットの炒飯は好きだったんで、味的には申し分ないのだが、ここ駅西本町店では作る人により当たり外れが激しいのが難点。
外れの時に当たってしまうと油でビチョビチョの炒飯を食わされる羽目に陥ります。
以外と評価が高いのが、ニラもニンニクも入っていないらしい、どこに餃子のアイデンティティーがあるんだっ!!と思わず問い詰めたくなる餃子。
実はこの餃子はかなり前向きに好きだったりします(笑)
と、前向きにとはいえ辛口なところもありぃ〜の。
金沢市民の『なんでやろ?8番』的な舌の記憶をマインドコントロールで植えつけられるヨォ〜な理解はできないものの、県外出身者として歳とともに胃が疲れやすくなってきたからあっさり目のラーメンで!
という感覚では8番らーめんでもイィ〜んぢゃん!と思えるくらいには8番らーめんの魅力が理解できるようにはなってきた、金沢赴任1年3ヶ月目の秋でございました(笑)