やはり、Leica M型は一つのカメラの始まりであると供に終着点だと思う。
先日M4を清水の舞台から飛び降りる気持ちで手に入れて、日々SUMMARONやElmar、そしてRicoh GRレンズを取っ替え引っ替えしてフィルムで撮影してきたが、フルマニュアルなのに、ある意味Leicaで撮っているという満足感と供に、ボクが生まれる以前のオールドレンズが写し出す色味、デジカメのセンサーが判別するような色と色の間に明確なピクセルの線引きがない、アナログ的な独特の波長が醸し出す色と色が重なり合う間合い的な色味に魅了されている。
せっかくM4用に購入したこの3本のレンズを他でも使えないもんか?
と、まずはマイクロフォーサーズ用マウントアダプターを購入して、PEN-Fに装着して試してみた。
これが思いのほかフォルムっぽい写りでよかったのだ。
しかし、マイクロフォーサーズのセンサーの場合、フルサイズと言われる35mm版換算するとほぼ倍。
ボクの持っているMマウントのレンズは28mm、35mm、50mm。広角域から標準域まで。
これはマイクロフォーサーズのボディに装着するとほぼ56mm、70mm、100mmと標準域から中望遠域までの画角になってしまうのだ。
これはボクの画角になじまないのである。PEN-FでMマウントはオモシロいんだけどこれは困ったと。
しかしPEN-Fで味を占めてしまったボクは、デジタルカメラでMマウントのレンズを使いたい欲望が日に日に増していったのである。
まさか、M4に加えてDigital Leicaに手を出すほど我が家は裕福ではない。下手したら中古で車が買えてしまう値段だし…(^^;)ハハハ。
そんな、けして手は出すまいと誓っていたDigital Leicaを眺めていたら、初のDigital LeicaであるM8はフルサイズぢゃなくてAPS-H相当のCCD。フルサイズ35mm版換算すると装着したレンズは1.33倍になるという。
例えば、35mmレンズの場合は約46.55mmになるということ。
M9以降はフルサイズなんでなんの躊躇もなくレンズを取っ替え引っ替え出来るわけだが、M9以降なんてまだ庶民には高嶺の花過ぎて手が出ない...(T^T)涙。
他に手はないモンかと物色していたら、あのEPSONがデジタルレンジファインダー機を出していたという。
Leica Mマウント、APS-CのCCDを持つデジタルレンジファインダーカメラのEPSON R-D1である。
これはいいもん有るではないか!?と食指が動こうとしたところ、有効画素数は610万画素。
さすがに13年も前の機種ともなるとそんなもんかと。
ちと冷静になったところで、APS-Hよりも一回り小さいAPS-Cの場合、フルサイズ35mm換算するとレンズの焦点距離は約1.5倍。35mmレンズの場合は52.5mmに。
マイクロフォーサーズの約2倍に比べれば、まだ使えそうではないか!でも、610万画素はちっとなぁ〜と諦めかけていたところ、
EPSONよりもボクにとっては身近なRicohさんが、またニッチで魅力的な製品を以前作っていたのである。
それが、明確にはGRシリーズではない、他に類を見ないカメラ業界最初で最後のユニット交換式カメラ、GXRなのだ。
このGXRはレンズ交換式ではなく、レンズとセンサーが一体化されたユニットというものを交換して、デジタル一眼のような使い方をするという、なんとも王道ではないRicohならではの鬼っ子なので有る。
ただ、鬼っ子であるが故にGXRシリーズもすでに生産終了してしまっている。
しかし、鬼っ子過ぎてニッチな商品なんであまり人気が無いのか、今でも中古市場ではお手軽な価格で落ち着いているのだ。
そんなGXRシリーズの中でもさらにニッチなというか、特定カテゴリーの中の人的にはこれほど待ち望んでいたモノはない!?というほどのユニットが、Leica Mマウント互換のLeica Mマウント A12ナノである。
このLeica Mマウント A12というユニットは、レンズとセンサーを一体化したというGXRシリーズ自身がニッチであるにもかかわらず、レンズすら付いておらず、センサーとLeica Mマウントアダプターしか付いていないというニッチぶりなのである(笑)
もう、有る一部のユーザー狙い撃ちで製品開発したとしか思えないニッチすぎる商品なのである...(^^;)ハハハ。
しかし、これこそ今まさにボクが求めている商品なのかもしれない!?
と早速、情報収集なのだ。
日本カメラムックの『リコーGXR MOUNT A12 WORLD―Mレンズが愉しめるマウントユニット』を購入し、GRシリーズでは無いものの、GRシリーズ的唯我独尊なボディの設計思想の共通点や、ガジェットとしてMマウントレンズを楽しむためだけに生まれてきた潔さがますますボクの購入意欲を沸き立てるのである。
さらには、LeicaとGRシリーズをこよなく愛する田中長徳氏の『GXRワ-クショップ 』でさらに追い打ちをかけられる。
本書はGXR発売直後のものであり、本書内では長徳氏はレンズとセンサーが一体化したGXR独自のカメラユニットを使用しての所感を述べているのだが、本書の中ですでにズバリとGXRのプラットフォームはMマウント対応のプラットフォームとしての使い方がベストであると予見しているのである。
まさに、Leicaを愛して止まない長徳氏ならではの視点であり、実際に数年後このLeica Mマウント A12が発売されたのだ。ごくごく一部のユーザー向けに(笑)
これは、同じくGRを愛し、Leicaも愛し始めているボクとしては天命なのかもしれない!?
とスイッチが入るのに時間はかからなかった。
ちなみにこのLeica Mマウント A12のスペックを確認すると、有効画素数は1230万画素、センサーサイズはAPS-CなんでEPSON R-D1と同等のサイズなんで、レンズの焦点距離の換算は同じである。
しかし、やはり時代の違いか有効画素数はほぼ2倍。これなら、GRで慣れた操作性にアドバンテージがあるのも加えて、R-D1にする選択は無い。
ということで、巷で無いモノねだりの時のヤフオク頼み。
いつもの如く、慎重に出来るだけ安く、かつ程度はほどほどのモノをチョイスして応札なのです。
届いた品は思っていた以上に程度がよろしい。
外箱もちゃんとついていた。
このLeica Mマウント A12とGXRの素性をご存じない貴兄にはワケワカだろうが、GXR本体のパッケージの中身はこれだけである。
充電池のチャージャー本体と電源ケーブル。それに充電池とGXR本体。
右下の四角いが凹んでいる物体がGXR本体といわれているモノだ。
それと、出品者さんのご厚意でLexarのSDカードが付いていた。
こちらがそのGXR本体。
これだけではなにも出来ない。GXR販売時にはレンズが付いたキットで販売されていたと思われるが、これにレンズが付いて初めてデジカメと言われるものとなる。
裏だけを見るとデジカメである。
GRと同じRICOHであるだけに、GRの操作系に似ている。
これならば、慣れる以前に自然と親指が動きそうである。
上部もほぼGR的。電源スイッチがスライド式なところがちと違うか。
この凹んでいる部分がレンズ装着部となっている。
インタフェース部分もちゃんとカバーが付いており、思っていた以上にいい買いモンである。
もう一つのLeica Mマウント A12のパッケージの中身がこちら。
ユニットの巾着とレンズ装着可否を調べるチェッカー、そしてA12本体。
それと使用説明書。
Mマウントレンズは過去資産が豊富で様々なレンズがあるが、そのすべてがA12に装着可能なワケでは無い。
A12本体のフランジバック以上の長さを持つレンズはセンサーとの干渉を招き装着できないのである。
そのレンズの後ろの出っ張りを測るのが附属のチェッカーで、チェッカーより長いレンズはA12には装着できない。
こちらがA12本体。一見レンズキャップを嵌めたレンズユニットの用にも見えるが、A12はMマウントとセンサーしか付いておらす、レンズはない。
なので、一般のカメラのボディキャップを付けている状態と思っていただければ(笑)
ボディにしっかりと装着できるよう、スリットが入った裏面。
なによりビックリしたのが、このGXR本体とのインタフェース部分。
これ、なんとPCMCIA、いわゆるPCカードの規格なのである。
Windows95前後のPCが一般化していく過程でパソコンに触れていた貴兄には、涙がでるような懐かしいインタフェースである。
21世紀のこのご時世にPCカード規格に出会えるとハッ!?!?
ボディキャップを外したA12ユニット。
奥にAPS-Cが鎮座坐しているが、シャッター幕のような仕掛けが施されている。
この辺りの遊び心が憎いのだ。
GXR本体にA12ユニットを装着!
しっかりと奥まで差し込むのである。
装着完了!
本来GXRのレンズユニットはGXR本体の長さに合わせて装着可能であるが、A12はMマウントレンズの性能を出来るだけ引き出せるように設計した結果、右の部分がGXR本体よりも出っ張ってしまう結果となった。
しかし、田中長徳氏は著書『GXRワークショップ』の中で、GXRの可能性は右方向と下方向への空間にこそ存在すると予見している。
GXRユニットは本体の枠に閉ざされているわけでは無く、右と下は制限内のである。
GXRの拡張機能としてはこの広がりの可能性の方向にユニットを拡大していくことで、無限の可能性を秘めていたのだ。
そう、秘めていたのであるが、結局このA12以降、GXRならではの拡張性を指し示すユニットが発表されること無く、GXRは短い生涯を終えるのである...(T^T)涙。
そんなA12装着のGXRであるが、こう見る限りまるでデジカメ。GRシリーズの新機種か?としか見えないのである。
が、繰り返すことになるが、この状態でレンズは付いていない(笑)
上からの図。
しかし、レンズは付いていない(笑)
今現在最新バージョンのGR2とGXRを並べてみる。
なんかGXRの方が、新しいGRのようである。
が、レンズは付いていない(爆)
上からみるとA12ユニットの分、GXRのほうが厚みがあるが、GXR本体だけだと、GR2とそれほど変わらない大きさ&厚みである。
正面から比べるとこんな感じ。
まさに兄弟機!GXRにGR28mmレンズのユニットを付けたら、ほとんどGR2と変わらないのでは無いだろうか?
ということで準備は完了!
ようやくレンズを装着して、GXRをちゃんとデジカメの形に仕上げるのだ!!
まずはLマウントのGR28mmレンズ。L-M変換アダプタを噛ませてA12に装着。
よくよく考えると、この構成で行くなら、むしろ普通にGR2で撮影した方がいぃ〜んだよね。
同じレンズで高性能なセンサー積んでるんだから...(^^;)ハハハ。
SUMMARON f2.8 35mmを装着したお姿。
多分、これでほぼ50mm相当の画角になるんで、おそらくこの組み合わせがGXRを持ち出す際の主力になるかも。
我が家の中の一番のオールドレンズELMAR f2.8 50mmを装着するとこんな感じ。
今風な本体に昔々のレンズのシルエット。これはこれで見た目はいいが、75mm相当というよくわからない画角なのがどうだろう?
とりあえず、これも慣れてみると面白いかもしれない。
さてさて、デジカメに付けたオールドレンズで撮ると、フィルムカメラでの撮影とどんな違いがでるのだろうか?
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