これは2ヶ月ほど前のまだ秋真っ盛りな頃のお話。
GXRでオールドレンズ遊びに興じるにつれて日々頭を擡げてくる一つの思い。
やっぱりデジタルもフルサイズで撮りたいよね!
いやいや、そこまでは足を踏み込まぬように注意してきた一年だったはずなのだ。
そもそもカメラに興味を持った際、一番最初に思ったのはデカくて重い、なにより人間工学に基づいたグニャグニャとしたデザインがキラい!!
と最初から候補から外れたのがデジタル一眼レフだったのである。
カメラは見た目が第一!そして四角いこと!!
そんなところにこだわったボクが選んだのはOLYMPUSのPEN-F。
往年のバルナックライカを彷彿とさせるようなデザインに、ミラーレス一眼ならではのコンパクト設計。なにより一眼レフに比べてレンズも安い。
これなら当分の間遊べるではないかっ!と一昨年の年末辺りはハァ〜ハァ〜が止まらなかったのである。
以降のカメラ沼へのハマり具合は本ブログでちょいちょいアップしてきた通りである。
ハマるにしてもボクが選ぶボディはすべて四角くてコンパクト。一眼レフのようなゴツゴツしたのはNicon Fだけである。
そんなこんなのこの一年、今さらながらに後悔している点がある。
あれやこれやと試してきた結果、カメラシステムがバラバラなのだ。
いろいろと試してきた中で思うことは、カメラというモノはボディは消費財で、レンズは資産であるということ。
ボディは機能やデザインに合わせて変えていけるモノである。対して、レンズは気に入ったものは長年使い続けられる。オールドレンズなとという沼にハマると様々なレンズを手頃な値段でコレクションしてイケたりもする。
さらにマウントアダプター沼なんぞにハマるとメーカーの枠を越えてレンズを使い回していけるご時世なのだ。
ここに来てようやく肝心なことに気が付いた。
マウントを合わせて揃えていった方が、いろいろと楽しみが増えるのでは無いか?と。
確信はボクのお気に入りのブログ『記憶カメラ』さんである。
ボクとほぼ同世代と思われ、かつ犬と散歩しながら写真を撮る。
彼はデジタル一眼レフからフィルム一眼レフ、そして再びデジタル一眼レフを手にして、Nikon Fマウントを主軸にNikonのレンズをフィルムとデジタルで共有して充実したカメラライフを送っているのだ。
ボクの手持ちのカメラを眺めてみて、どうしたモノか?と。
OLYMPUSのPEN-Fはこれはもうマイクロフォーサース規格なので、この中で遊ぶしか無い。手軽でコンパクトであり、PEN-Fの機能はまだまだ最先端である。
それ以外に有効活用出来るのは、Leica M4とともに揃えたオールドレンズである。こちらは最近GXRに付けてその最新のレンズとは違う写り具合を楽しんでいる。
M4で写真を撮るようになって以来、マニュアルフォーカスへの緊張感がすっかりなくなった。
写真を楽しむという点ではここに手を入れられるのでは無いかと?
せっかくのオールドレンズの写りをGXRのAPS-Cセンサーではなく、フルサイズのセンサーで試したら、独特のレンズ周辺の描写も楽しめるのでは無いかと。
以来、Leica Mマウントのレンズを使えるデジカメボディはなにが良いかとモンモンとする日々を送る。
世間的な評判ではSonyのα7シリーズがオールドレンズ遊びにはもってこいというが、やはりあのゴツゴツしたデザインが気に入らない。
どうしても『カメラは四角』の呪縛から離れられないのである。
となると残る選択肢は一つしか無い。LeicaにはLeicaである。
以前はあれほどデジタルライカには手を出すまい!と視界の外に押しのけていたのが、今年M10が発売されて、以前のモデルが日に日に手頃になってきた今日この頃なのである。
ということで、今手元にデジタルライカのLeica M(TYP240)のブラックペイントがある。
レンズは信濃の雄、コシナのレンズブランドVoigtlander 75mm f1.8。
今のレンズであるにもかかわらずクラシックなレンズ構成の中望遠レンズである。
このLeica M(TYP240)は外観はけして良好では無い。
2013年3月に発売されたんで、発売と同時に前ユーザが手にしたとしてもまだ4年半程度。
その間、かなり実用的に使われていたのか、ボディの角はほぼブラックペイントが剥がれて中の真鍮が顔を覗かせている状態である。
が、LeicaのブラックペイントはM3の昔から、ペイントが擦れて真鍮が顔を覗かせている風情に歓びを見いだすユーザもいるということでむしろウェルカムなのである(笑)
そんなLeica M(TYP240)にVoigtlander 75mm F1.8を付けて、いつもの如くうちの小春さんで試し撮り。
なんか色合いが独特。デジカメらしい描写というよりも、明暗がクッキリと描かれている。
ということで、さっそくデジタルなLeica M TYP240とフィルムなLeica M4に同じレンズのVoigtlander 75mm f1.8を付けて、デジタルとフィルムの間を行ったり来たりしてみることにした。
フィルムはFUJIFILMの業務用100を使用。
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
まずは、うちの小春さんの散歩コースの近所の路地の民家の表札。
絞り開放で『D』の右の縦カーブあたりにピントを合わせて撮ってみたところ、デジタルのM TYP240のほうがちと露出がアンダー気味。
フィルムのM4の方が逆に露出が合っていたようで、アルファベットの部分の金属の模様まで映り込んでいた。
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
こちらは近所の路地の蔦の絡まる家の蔦。
さっきの表札と同じで、M TYP240の方がちとアンダーでM4の方はちとハイキー気味か?
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
こちらも同じく蔦の絡まる家。
やっぱり先ほどと同じ感じ。
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
金属の写りはどうかと、ミニクーパーのフロント部分を。
階調はさすがにデジタルなM TYP240の方が滑らかだけど、見た目の発色はフィルムのM4の方が確かな色合い。
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
同じく金属モノで今度はバイクのハンドル部分を。
どうもこの日初めてM TYP240を持ち出して、設定の確認をろくにせずに取りだしたんで、露出アンダーな設定みたい。
でも、この色合い好きかも。
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
いつもの猫公園の木の瘤。
朝日が上がってきて光が拾える箇所ではM TYP240の方が幹の肌合いの色合いが良い。
M4はちと寄りすぎ?...(^^;)ハハハ。
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
少しずつ紅葉し始めてきた感じの色合いはデジタルなM TYP240の方がしっかりと拾ってます。でも、ちと逆光気味で光が入ると、影の部分はよりアンダー目に。
M4はちとピントがズレてます(笑)
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
街中はというと、フィルムが業務用100だからちとハイキー気味なのか??
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
街路樹が並ぶ木陰から撮してみると、フィルムのM4の方がしっかり写るという結果に。
とりあえず、M TYP240はちゃんと設定し直して撮ることにします...(^^;)ハハハ。
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
こちらはスターバックスの入口のクリスマスシーズン用のウィンドウアート。
こういう硝子に映るものを撮る場合はアンダー目の方がイラストがクッキリと浮かび上がって良いですね。
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
池袋中公園のふくろうさん。
M TYP240の方には若干玉ボケが発生してます。
やっぱりM4は寄りすぎてますね。なんかブライドフレーム90mmの中で撮ってるな?これは??
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
北海道料理屋さんの入口脇にあった、木彫りのアイヌ像。
木の感じはどうなるかと思ったら、デジタルなM TYP240の方は、乾燥して白くなっている部分が強調されてしまって、なんかやり過ぎ感のある写りに。
再現性では全然フィルムのM4の方が上回ってます。
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
BARの店先に並んでいた空き瓶。
やはりフィルムはちとオーバー気味に感じる。もう一段絞って撮るくらいがちょうど良いかも。
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
池袋四面塔稲荷大明神の狛犬さん。
お社以外の敷地がないンで、狛犬さんは社の柱にいらっしゃいます。
実際の色味はフィルムのM4の方が近い感じ。M TYP240の色合いはアンバーが強く出ている感じ。
【Leica M TYP240、Voigtlander 75mm f1.8】
【Leica M4、Voigtlander 75mm f1.8】
秋の空はどうかとレンズを上に向けてみる。
M TYP240というか、レンズの特製だと思うけど、左右に周辺減光が垣間見られる。
M4では場所を変えての空の色。なんかハイキーな空の色で個人的にはこういう色好きです(笑)
そんなこんななデジタルとフィルムを行ったり来たり。
当然のことながら全く同じな感じには仕上がらないわけで、これで違うフィルムで撮すとそれはまた違った仕上がりになるわけで、いやぁ〜写真てオモシロいね。