バブル真っ最中のあの頃。
ボクは大学進学とともに群馬の実家から東京に上京してきた。
もう、四半世紀以上前のコトだ。
キャンパスの都合上、選んだのは世田谷区の東側。最寄り駅は下北沢。
田舎の高校生が『シモキタ』として憧れていた街。
最初の2年は最寄りと行っても駅まで自転車で10分ほど離れたところであり、後半の2年間は南口商店街の三差路の路地を入ったところで青い春を謳歌した。
都合4年間このシモキタという街はボクにとって衣食住全てが揃った街で、迷路といわれるシモキタの東西南北の路地という路地は全て把握するくらいに、ボクにとっては実家の町以上になじみ深い街となった。
そんな学生生活の想い出がかなり濃厚にボクの中には残っているシモキタという街も、小田急線の地下化とともに駅前再開発が始まり、当時のシモキタの景色は今は遠い過去のことへ......。
いつまでも色濃いと思っていた学生時代の想い出も、社会人となり、生涯の伴侶も得て、いつの間にか色あせてセピア色もボンヤリとピントが合わなくなって久しい。
正直、下北沢の変貌などなんの興味も沸かなくなっていたので、その変貌ぶりをしっかりと見たことがなかった。
それが、ある日突然シモキタに行ってみようと思い立ち。
ほぼ26年ぶりにあの迷路のようなシモキタの路地から路地を歩いてみたのだ。
なにより違和感があるのは新宿から小田急線に乗り、代々木上原を過ぎたアタリから地下へ潜っていく小田急線。
話で聞いていた通り、下北沢の駅は現在は地下鉄の駅の如く地下にあった。
あの街並みの間を無理くり突き進み、朝夕は住民には迷惑でしか無かった開かずの踏切ももう無いのである。
便利にはなったが、都内西部を走る私鉄沿線としての風情も無くしたんじゃないかな。
まずはボクが暮らしたアパートのある南口改札から外に出る。
駅舎はまだ仮舎といった感じで、なんの風情もへったくれも無い。あの噴水広場といっていた噴水の無い広場もいまはもう無い。
ボクの衣食住のほぼ全てを兼ね備えていた下北沢南口商店街入口。
この写真に写っている範囲はあの時代の名残である。
でも、この両脇はすっかり変わってしまったけど......。
この南口には名物のパン屋さんが在った。
『アンゼリカ』。みそパンとカレーパンで何度となく貧乏学生の胃袋を満たしたモノだ。
そんなアンゼリカさんも昨年の夏に店仕舞いしてしまったという。
四半世紀前からいまだに頑張っているお店もあれば、新しいお店も。
感覚的に8割方は新しいお店に変わってしまっている気がする。
以前は南口というと雑多で庶民的なお店が多く、洒落散らかしたお店は北口という棲み分けが出来ていたが、今は南口でも洒落散らかしたお店が増えている...(^^;)ハハハ。
南口商店街をまっすぐ南下して、南口三差路。
昔はこの三差路あたりを境にして、東西南は住宅地になっていたが、現在は商業区域が拡大してまだまだお店が続いている。
この近くにあった、とても美味しくてお世話になった定食屋や有名じゃない方の広島焼のお店が無くなっていて意気消沈していたら......。
道にポツンと『茄子おやじ』の看板がっ!?
え゛っ!?茄子おやじまだあんのっ??とテンション舞い上がり気味で...(^^;)ハハハ。
こちらの茄子おやじとの再会は別エントリーで(笑)
そして、こちらも週2くらいでお世話になった餃子の王将。
ボクにとって餃子の王将はこの下北沢店でした。
三差路の右側、このもう一つの三差路に建つお店の前の路地を曲がると学生時代の後半2年間を過ごしたボクの住処。
この辺りも昔からちっとおしゃれ気味なお店がぽつりぽつりとあります。
ボクの住処はこの茄子おやじさんの路地の一本南側のご近所さん。
まさに1990年、ボクがこの辺に引っ越してきた頃に茄子おやじさんも営業開始したのです。
当時はなんか運命的なモノを勝手に感じて通ってました...(^^;)ハハハ。
茄子おやじさんでお腹を満たした後はまた路地徘徊を再開。
するとこんな奇妙なお店が!?
三差路まで戻り、今度は三差路の右側に入っていきます。
この辺は当時はお洒落とはほど遠い、シモキタらしい雑多な道だったんですが、こんなオシャンティーなCafeが。
思わずお写ンティーなのです(笑)
かと思いきや、ライブや舞台のポスターが店先に貼り出してるところもあったり。
こういうのみると、嗚呼ぁ〜シモキタだと落ち着きます。
駅の方に近づいていくとこんなアジアンフードコートらしいエリアが。
なんからしくないなぁ〜とも思うンですが...(^^;)ハハハ。
南口に行く手前を東に向かい、東会方面へ。
このエリアはなんといってもシモキタのランドマーク!
本多劇場がっ!
よかった、本多劇場はまだあるのね。
学生当時は野田秀樹の夢の遊眠社をはじめ小劇場演劇ブームで、本多劇場はまさにその聖地として君臨しておりました。
その他近所にはスズナリとかもあり、この小さなエリアに小劇場が林立していたりライブハウスがあったりと、この辺りのハコからあのシモキタ独特の空気感が醸し出されていたんでしょうねぇ。
そして、今回現実を目にしてなにより衝撃的だったのが、こちらの駅前商品市場の跡形も無い姿......。
駅前再開発に伴って無くなるとは聞いていたけど、実際に無くなってしまった姿を見ると、なんとも言葉がありません。
東口方面の小劇場の雰囲気とともに、北口に隣接するこの駅前商品市場の戦後闇市的な怪しい雰囲気こそが、往年のシモキタの空気感を作ってきたのに...(遠い目)。
辛うじてまだ一店舗分取り壊しを免れてましたが、営業しているわけでもなく。
どうせこのあと小綺麗なファッションビルでも建つんでしょうけど、それってもうなんだかボクが求めるシモキタではないよね。
そんな昔は小綺麗な印象だった北口もいまはこの有様。
南口と同様に仮設駅舎でなんとも...(^^;)ハハハ。
北口商店街は4年間通い続けた本屋も無くなり、なんか昔の南口のような雑多感が北口に漂い始めています。
とはいえ、左右に伸びる路地に入るとまだまだ小洒落たお店が多いですけどね(笑)
今回路地徘徊をしていて唯一行列が出来ていたのが、こちらのパンケーキパイのお店。
思わず並びそうになりましたが、なんかシモキタっぽくない!という勝手な理由でスルー(笑)
この後、昔通って読書に勤しんだカフェ・ド・パルファンに寄ろうと思っていたら、この日はなんと定休日っ!?
いまでこそ民家を使用したカフェは普通にありますが、パルファンはボクの学生時代にはもう存在していて、その『家』ならではの雰囲気が好きな喫茶店だったのです...(T^T)涙。
そのかわり、こんな風変わりな農民カフェなんてモンができていたり(笑)
こういう感じの物件を素直に受け入れる懐の深さはシモキタならでは。
そんなこんなするうちに井の頭線の西口へ。
この辺はほとんど変わってないですね。安心しました...(^^;)ハハハ。
でも南西口に向かう途中にはちょいちょい小洒落た店先のお店が増えてます。
以前はこの路地は住民が駅に向かう道でしかなかったんですけどね...(^^;)ハハハ。
妖精さん?なりはウェンディなのに羽が生えたティンカーベル??どっちなんだろ?
もぉ〜学生気分が満喫できる街では無くなったシモキタにけっこうおセンチになってしまい、もう帰ろうかな?というところで気になるお店を発見。
歩き疲れたんでちっとお茶して帰ろうと入ったお店がカフェバーなお店『Vizz』さん。
店内は奥のカウンターの他に店でバラバラなテーブル席。
各テーブルはそれぞれバラバラなアンティークなテーブルと椅子。
こういう雑多感好きです。
テーブルと椅子だけかと思いきや、照明も一つ一つ違います。
窓際の席ではこんな感じで占有できたり。
なんかいぃ〜このお店。
で、とりあえずブレンドコーヒーでお茶を濁します...(^^;)ハハハ。
ボクが座ったのはこんな感じで包み込まれるような椅子の席。
なんかすっぽりと繭の中に包み込まれたような感じがとても心地よく、気がついたら1時間半ほど読書しておりました...(^^;)ハハハ。
すっかり気分良くなってしまい、普段はこんなことしないんだけど、ちとおセンチだったからか、帰りにお店の人に
♂『もう四半世紀前くらいまでこの街で暮らしてたんですよ。今日久々に来てみたんですが、こちらいいお店ですね』
などと口にしてました。すると
店員さん『うちはオープンして10年くらいナンですよね』と。
その後も2、3言葉を交わしてお店を出たのでした。
ボクの街だった『シモキタ』はもう無くなってしまったけど、でもこういう新しいお店が根付いていって、新しい下北沢が作られていくんだろうなぁ〜。
ボクのシモキタは今回の路地徘徊でまた当時の色合いを思い出したんで、ボクの胸の中にしまっておくことにします。
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