カメラ沼の漬かり心地はいまだ心地よく。
今年も茹で蛙状態が続くのでしょうか?
といっても、これはまだ昨年12月中旬のお話。これで打ち止めになったら本望なのですが...(^^;)ハハハ。
昨年秋、10月頃の時分だっただろうか?
カメラ雀、ライカ雀がピーチクパーチクと瞬間喧しくなったニュースがこちら。
Leica M10−Dの画像リーク記事である。
偉大なる来夏様は、M10の巷での評判の良さにすっかり気をよくしたのか、多少はデジタルでの自信が持てたのか、その後間を置かずにプロ仕様という名目のM10Pを発売し、その舌の根も乾かないうちでのこのM10−Dなるものの画像リークなのだった。
もう連番は付けないのっ!と先代はLeica M TYP240という名称だったのに、M10という先々代のM9の次の連番をぶり返し、いつまで経ってもフィルム版のM型のボディの薄さを実現出来ないデジタルライカをTYP240から動画機能を削って実現させたM10は、さすがにこれなら違和感ないかなと思えるほどシェイプアップされた初めてフィルムライカに近しい触感を持てるデジタルライカだった。
ボクはといえば、宝くじが当たりでもしない限り入手は困難なんですっかり頭の隅にすら置いていなかったのだが、このM10-Dなるものの画像リークをみて、気になって仕方が無かった点が一つあったのだ。
それはフィルム巻き上げレバーと思しき部品である。
先代M-Dという液晶モニターのないデジタルライカがあったんで、機能的にはそれのアップデート版なのであろうと想像は付くが、画像を見る限りボディのフィルムライカと同じ位置に巻き上げレバーがくっついちゃっているのである。
これを見て雀たちはあぁ〜だこぉ〜だ、あぁ〜に違いない!と喧しく騒ぎ立てたのである。
しかして、その正体は巻き上げレバーを模したサムグリップだったと、脱力のあまり脱糞してしまった雀たちも多かったであろうというオチだったのであるが、この一件以来デジタルライカへの欲がまた再燃してきたのである。
舌の渇かないうちが過ぎるのもボクの性分である。
つい先日『晴れたらライカ、雨ならデジカメ』でデジタルライカの整理はしたばかりである。
しかし、コトは単純な話ではないのだ。
単にデジタルライカが欲しいというのではなく、あのM10-Dで一瞬期待してしまった妄想である、フィルムカメラのように扱えるデジカメというモノがシンプルに欲しくなってしまったのである。
M10-Dが発売されたと言うことは、先代のM-Dは安くなっているのではあるまいか?液晶無しでRAWでしか撮影できず、家に帰ってRAW現像して初めて撮影結果が見られるというのは、なんともフィルム現像のデジタル版である。
しかし、まだまだ中古相場も高すぎる。
では、写りの部分がフィルムっぽいというのはどうであろうか?と。
M9やM8、M8.2はセンサーが現在のデジカメで採用されるCMOSではなく、何世代も前のCCDセンサーであるという。なので今のデジカメとは違った独特な写りを表現できるらしいと。
しかしこれらも、安くなったとは言えまだ高い。そもそもボクが欲していたのはフィルムカメラのような写りではなく、フィルムカメラのように扱うデジカメである。
いまさらM9、M8に手を出す資金があるなら最新のフルサイズミラーレスが買えてしまう。
それでは、わざわざ新しいカメラに手を出す意味が無いのである。当面はNikon DfとSony α7Ⅱで充分ということになる。
M8の情報を調べているうちにとんでもないカメラの情報に出くわしたのである。
それは、かのレンジファインダーカメラの王者であるLeica社が初のデジタルライカであるM8を発売した2006年を遡ること2年前。
2004年に発売された世界初のデジタルレンジファインダーカメラであるEPSON R-D1である。
Leicaよりも先にデジタルレンジファインダーカメラを作っちゃうってどゆこと?
しかも、2年後に待たせた上によぉ〜やく出てきたM8はこのEPSON R−D1と同様にフルサイズセンサーではなく、APSサイズのCCDセンサーである。
ということで、いろいろと調べているうちにこのEPSON R−D1が如何に今となっては孤高の存在であったか。いや当時は孤高の存在としての価値を維持していたかもしれないが、今となってはただの変態カメラなのかもしれない。
とか、情報を得る毎に興味惹かれまくりなのである。
しかも、デジタルライカに比べてべらぼうに安く入手可能となれば、またまた機材を売り払ってということになるのである...(^^;)ハハハ。
ということで、入手したのがR-D1シリーズとしては2台目に当たるR-D1S、2006年という干支一周り前に発売されたデジカメである。
12年も前のデジタルカメラに一体なんの価値があるであろう?ほとんどのデジカメはもはや鉄くずの価値でしかないのではないだろうか?
しかし、変態カメラの称号を得られるデジカメには今となっても生きる意味があるのである<一部の変態にとっては(爆)
しかも、この個体はちゃんとパッケージに入っているというところが正義である。
蓋を開けるとこんな感じ。
なんか開封の儀もワクワク感が止まらないのだ。
この窪みの使い方は発売当時こうだったのかどうかは今となっては解らないが、2GBのSDカードがオマケでついてきた。
なにせこの機種、SDカードは2GBまでしか認識しないのである...(^^;)ハハハ。
ということはボクが持っているEyeーFiカードもFlash Airカードも使えないと言うことだ...(T^T)涙。
内蓋を開けると中にご本尊様が。
パッケージの中身は取扱説明書と本体、バッテリーとバッテリチャージャーにオマケのSDカードとなる。
こんな昔のカメラに取扱説明書が付いているだけでもラッキーだ。
本体はいたってシンプル。中身は別としてボディに関してはコシナのBESSAがベースとなっているらしい。
当然のことながらマウントはLeica Mシリーズ準拠である。
なので手持ちのMマウントレンズを使用する想定なのだ。
で、この一昔も二昔も前のR-D1Sのセンサーは600万画素APS-CサイズのCCDセンサーなのである。
ちなみにSONY αシリーズの標準機の最新版であるα7Ⅲは有効約2420万画素35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーということになっている。
センサーサイズはAPS-Cとフルサイズで異なるモノの単純に画素数だけでいうと、このR-D1Sのセンサーは1/4程度しかないということになる。
この数字的な荒さが,フィルムっぽい仕上がりに繋がるのではないか?という点にボクは期待しているのである。フハハ。
と表向き、非常にナンの変哲もなさげなシンプルな作りのR-D1Sではあるが、それは正面から見た印象だけである。
このカメラの真の実力というか、当時Leicaがいつまで経ってもデジタルライカを作ってくれなかったとは言え、孤高の存在であったかは軍艦部をみれば明らかである。
まずは左半分。
一番左にはLeicaのバルナック型やM2、M3のようなフィルム巻き戻しノブ的な物体が。
デジカメなんで巻き戻すフィルムがないンで巻き戻しノブではなく、かといってM10-Dのサムグリップのような子供だましのアクセサリでもなく、実はメニュー選択に使用するジョグダイヤルの役割を果たす。
そしてその右にはファインダー画角設定レバーが。
この50、28、35の数字はレンズの画角の数字を合わせることになるが、R-D1SのセンサーはAPS-Cサイズなんで、そのままレンズの画角では撮影できない。フルサイズと比べてだいたい1.5倍くらいナンで、例えば50mmレンズを装着すると75mmの中望遠相当に。
28mmレンズだと42mm相当の準広角程度に、35mmレンズだと52mmの標準レンズ相当になる。
このファインダー画角設定レバーを装着するレンズ似合わせると、ファインダー内部に表示されるフレームが1.5倍換算された状態で表示されるのだ。
そして問題が、というか見ておわかりの通りなんじゃこりゃ!?という軍艦部の右の部分。
これ、あくまでデジタルカメラである。
にも関わらずこのアナログ感。というかAE時代のフィルムカメラの軍艦部のような佇まい。
まず左側のクロノグラフのような部分は針式インジケータと呼ばれているシロモノだ。
ベースは親会社のセイコーのクロノグラフのパーツを流用しているらしいンで、まさにクロノグラフなのである(笑)
左の小針はホワイトバランスの設定値を示す針。
右の小針は画質の設定値である。ちなみにR-D1SはRAWとJPG(高画質、標準画質)の3パターンが設定可能。
下の小針はバッテリー残量を示す針。
中央の大針は撮影可能枚数を示すという懲りようなのだ。
その隣のダイヤルはシャッタースピードダイヤル。AEに設定した場合は露出補正設定ダイヤルとなる。
ちなみにR-D1Sは露出優先AE機能付きである。
さらにシャッタースピードダイヤルと一体化しているISO設定ダイヤル。
フィルムカメラ同じようにダイヤル部分を引っ張り上げて回すとISOを値を設定できる。
まるでフィルム感度を設定するダイヤルと同様の機構なのである。
しかも、わざわざフィルム感度に合わせたのかどうか知らないが、ISOは200から1600までしか設定できない(笑)
もぉ〜今となっては笑うしかないほどの凝りようなのである。
さぁ、残る余計なシロモノが気になって仕方が無い貴兄も多かろうが、これはあくまでデジタルカメラである。
なのでそもそもフィルム巻き上げレバーなんてモノは必要ないのだ。
にも関わらずR-D1Sにはフィルム巻き上げレバーが付いているのである。
先ほどのM10-Dの子供だましのサムグリップではないのである。そう、かのLeica社は信者はどんなモンにでも御布施を払うとユーザを小馬鹿にしてあんな子供だましをわざわざ付けたのだが、12年前のEPSONの技術者は凝りに凝ったのである。
なんと、フィルム巻き上げは関係ないモノのもう一つの大切な役割であるシャッターチャージの役割をわざわざデジカメの時代にこのフィルム巻き上げレバーに残したのである!!
なんたることであろうか?今となっては神の福音でる(ー人ー)。
このフィルムカメラではフィルムを巻き上げる動作で撮影のリズムを作っていた、あの所作がデジタルカメラで可能なのだ。
この機能を知った時、まさにフィルムカメラのようにデジタルカメラで撮影してみたいという妄想が現実のモノとなったのである。
さらにこのR-D1SがLeicaを越えているのは等倍のレンジファインダーであるということ。
この辺の技術はEPSONというよりもコシナの技術であると思われる。
あの物神宿るM3ご自慢のファインダーでもほぼ等倍というレベルだが、R-D1Sのファインダーは100%なのだ。
100%ということは左目を開けたままで右目でファインダーを覗いても、まったく違和感を感じないと言うことである。
この等倍ファインダーという凝りようも、魅力の一つである。
ちなみに電源をオンにすると先ほどのクロノグラフの針はこのように表示されることになる。
電源オンすると針がグイィィィ〜ンと回っていく所作は、現在のデジカメの電子表示のみの淡泊なモノと異なり、なんともアナログ感満載でほのぼのするのである。
そして、背面の液晶モニター部はバリアングルなんて機能は当然付いているわけが無く。
なにせライブビューなんて機能はまだまだ後の時代の出来事である。
液晶モニターを反転させてこのようにしておけば、見た目は全くフィルムカメラなのだ。
ちなみに円盤の表示は35mm判レンズの画角をR-D1Sに換算した場合の早見表になっている。
R-D1Sで唯一残念なのはこの液晶のメニュー表示。
見ての通り、まるでEPSONのプリンターのメニューのようなレベルなのだ。
表示はダサいが、左上のジョグダイヤルを使用してのメニュー操作はなれるとすこぶる使いやすい。
等倍ファインダー、シャッターチャージ用巻き上げレバー、クロノグラフなインジケータ、モニターレスなデザイン。
当時は確かに孤高の存在だったであろうことは想像に難くない。
しかし、あれから12年。以降このようなレンジファインダーカメラが一台も出ていないと言うことは、孤高すぎた故にもはや変態の領域まで突き抜けてしまったからではあるまいか?
というか、当時のEPSON技術者の凝り様には凄まじいモノを感じる。
EPSONはプリンタ技術は世界に誇るモノはあるが、カメラの会社ではない。
おそらく当時はプリンタの入力デバイスの開発としてカメラを作ってみたのかもしれないが、このカメラへのこだわりはとりあえず作ってみましたというレベルを軽く越えているのである。
正直Nikon FとOLYMPUS pen F(フィルムカメラの方)以外の国内メーカーのカメラには物神を感じないが、このR-D1Sには変態性もさることながら物神を感じるのである。
当時のEPSON技術者の執念もスゴいが、それを許した役員といい、当時のEPSONはいぃ〜会社だったのだろうなぁ〜と。
そんなことまで思いを馳せさせる物語を感じさせるカメラ、それがR-D1Sなのである!
ということで、そんなR-D1Sに付けるレンズはとなると広角系のMマウントレンズはあまり手持ちがないンで、思い切って超広角を用意してみた。
それがVoigtlander COLOR SKOPAR 21mm F4である。
35mm判で21mmなんで、R-D1Sでは31mm程度の画角ということになる。
この次の画角としてはRicoh GRレンズの28mmがあるんで、これだと42mm。35mmや50mmはいろいろあるんで、充分手持ちのM、Lマウントレンズでシステムは組めるはずである。
R-D1Sに装着するとこんな感じ。
なんかめっさシックリくる感じ(笑)
やはりレンジファインダーにはこれくらいの小振りなレンズがよく似合う。
さっそく目の前で水を飲んでいるうちの小豆さんを試し撮り(笑)
職場で夕やけの色合いがよかったんでパ写リ。
帰りがけに池袋北口の中華エリアを。
駄菓子バーのバスのりば(笑)
ドアの隙間から店内のランプを狙って。
まだいろんな状況で撮してないんでいかんともし難い面はあるものの、今時のデジカメの描写とは明らかに違う写りをする。
この発色がセンサーがCCDであるからなのか、センサー画素数が600万画素でしかないんでフィルムっぽい荒さを感じるのか専門家ではないンでわからないが、少なくとも今回フィルムカメラのように扱うデジカメでフィルムカメラっぽく写したいという妄想は充分にクリアできる。
デジカメのクセに撮影するまでの所作がフィルムカメラそのもので、なんでそんな手間暇掛けるの?という貴兄には全く向いていないカメラである。
しかし、そんな所作を味わいたい、今となっては変態には十分過ぎるほどの幸せをもたらせてくれるし、そんな貴兄にはいつまでも孤高の存在であり続けるのだろうなぁ〜というR-D1Sなのである。
ちなみに以前のLeica M TYP240でネコ歩きをしていた頃のように、此奴でネコ歩きしようと手持ちのレンズの中から選んだ組み合わせがこちら。
Leitz Elmar 90mm F4.0との組み合わせ。
90mmのレンズだとちょうど135mm換算になるんで、以前のLeica M TYP240にLeitz Elmar 135mm f4.0の組み合わせと同じになるのだ。
しかし、R-D1Sには90mmレンズのフレームは用意されていないんで、135mmの外付けファインダーが必要になってくる。
ということで、Leitz SHOOC 135mm外付けファインダーを導入!
変態度がさらに増し増しますが...(^^;)ハハハ。
Leica M TYP240を手放して以来、Nikon DfだのSony α7ⅡだのとAFカメラで楽してきたんで、このセットで久々に気合いを入れてネコ歩きをしてみようかと(笑)