3月下旬、大滝詠一の『A LONG VACATION』が40周年とのことで40th Anniversary Editionが発売されるとのことで。
おりしも日本のシティポップが世界中で注目を浴びているという背景もあり、音楽好きクラスターが賑々していたわけですが。
ボクにとってもこの『A LONG VACATION』は生涯のベストアルバムを選出するとなると絶対に選ばれる一枚になりますね。
とはいっても、発売当時はまだ毛も生えていない小僧だったんで、実際に聴いたのは発売数年後。
それでもステレオのスピーカーから♪君は天然色♪のイントロが流れてきたときは、う゛わっ!?なんだこれっ!?とこれまで聴いていたベストテンの曲とは全く違う透明さ、爽快さ、天然色の音に一発で夢中にさせられた記憶があります。
その後は当然のことながらナイアガラミュージックにハマっていく一方、大滝詠一のキャリアを遡っていくことになるワケで。
そこで、出会ったはっぴいえんど。
日本のロックの金字塔、初めて日本語をロックに乗せたバンドと当時からすでに伝説のバンド扱いで、これはきっともの凄い音楽であるに違いない!
と意気込んで2枚目のアルバム『風街ろまん』を聴いた中学のボク。
.........でも、毛が生えそろってないボクにはまだまだ難しかったんですよね。
おりしも、当時はパンク・ニューウェーブが落ち着きを見せて、イギリスではNWOBHMが勃興し、数年後にはアメリカ西海岸でLAメタルが産声を上げるような状況の中、JOURNYのような産業ロックが幅を効かせ始めていた頃合いで、音もデカく、メロディアスで、ギターリフやドラムのリズムが派手なロックが流行り始めていた中、このはっぴいえんどの音がなんとも地味にしか聞こえず...(^^;)ハハハ。
以来、数年ごとにはっぴいえんど熱に冒されては当時のトラウマが蘇り、いまいちちゃんと聴き込むことが出来ずに生きてきたワケなのです...(^^;)ハハハ。
今回も大滝詠一の『A LONG VACATION』40周年を機会に、いつものはっぴいえんど熱に感染したワケですが、今回ばかりはどうも音のしみこみ具合が違うンです。
地味だと思っていた音作りがしっくりときて、なにより決定的な違いはコレまで聴いていたのは音作りの部分だけで、詩が入ってこなかったんですが、今回は松本隆の詩の世界に音と共にグイィ〜ンと吸い込まれていったんですよね。
そこは東京オリンピック開催に向けて大改造が急ピッチで行われている1960年代の東京都心。
都心で育った松本隆の知っていた東京は記憶の中の『風街』としてフワリフワリと漂い、人によって形を変え、それぞれの風街として音と詩の中に漂っているんです。
そんな世界観にヤラレテしまい1枚のアルバムだけを数日間ひたすらヘビロテリピートで聴いていた4月の第二週だったんですが、その『風街ろまん』の風面の4曲目。
邦楽を代表する曲でもある♪風を集めて♪の次の曲に♪暗闇坂むささび変化♪という曲があるんです。
♪ところは東京麻布十番♪
♪折しも昼下がり♪
♪暗闇坂は蝉時雨♪
♪黒マントにギラギラ光る目で♪
♪真昼間から妖怪変化♪
♪ももんがーっ♪
♪ももんがーっ♪
♪おー♪
♪ももんがーっ♪はっぴいえんど『風街ろまん』暗闇坂むささび変化
カントリーウェスタン調の軽やかな曲調で、具体的な地名が出てくることからより鮮明に脳内にイメージが広がります。
今でも麻布十番駅から徒歩数分の所に実在する『暗闇坂』。
これはお写ン歩好きとしては実地検分しないわけにはイキますまい!と麻布十番へ向かったんです。
池袋から麻布十番へは経路が二つあるんですが、往路は池袋からJR山手線で代々木駅へ。代々木駅で大江戸線に乗り換えて麻布十番という経路を撮りました。
ちなみに、この日のカメラはLeica M9-PにVoigtlandar NOKTON Classic 35mm f1.4。Jpeg撮って出しは彩度低めの設定で。
7番出口に向かうと、案内板にしっかりと『暗闇坂』と書かれてました。
地上に出るとすぐに十番稲荷神社。
でもまだ朝早すぎたのか開門前でした...(; ;)ハラリ。
門の脇に七福神がいらっしゃったんで、こちらで...(-人-)合掌。
暗闇坂に向かって、環状三号線を横断すると道の向こうには六本木ヒルズのドデカいお姿が。
いやぁ〜都心でございますなぁ〜。
少年時代の松本隆もまさかこんな地球防衛軍の司令基地みたいなギラギラしたビルが建つとは思ってもいなかったことでしょう。
環状三号線を渡り、暗闇坂に続く道へ入ります。
この前方の坂になっているところが暗闇坂。
こちらが暗闇坂の入口です。
くらやみざか
樹木が暗いほどおい茂った坂であったという。
以前の宮村(町)を通るため宮村坂ともいった。
との謂れ書きがありました。
とはいえ、おい茂る樹木はほぼ無く、左右共にコンクリートの高層建築物がおい茂っているんです。
坂を上っていると左手の広い敷地はオーストリア大使館。
でも残念ながら修復中でほぼほぼ白いシートに覆われていました。
さらに坂の最上部あたりになると辛うじておい茂る樹木の一角を発見!?
というか、樹木があるのはこの一角だけですね、今となっては。
朝陽が左側から差してくる時間帯なんで、正中の明かりに比べればまだ暗く感じますが、夜は暗闇坂をこの辺だけは体験できそうですね!
なんだここは?と上に目を向けると、微かに洋館っぽい建物の角が見えたんで、敷地を廻ってみることに。
するとなかなかご立派な洋館が残っておりました。
門前から窺えるステンドガラスが埋め込まれた窓とか。
ここは民家なんだろうか?
そんな辛うじて暗がりな区画がまだ残るところが暗闇坂の終点です。
ここを左折して、今度は大黒坂を下って麻布十番駅を目指します。
こんなイメージよろしい街でもこういう落書きあるンですね(笑)
なんかスゴい綺麗な石畳だなぁ〜と思ったら、こちらは賢崇寺さんというお寺さんの参道でした。
そんなこんな歩いていると見覚えのある所に。
先ずお迎えしてくれたのは麻布十番パティオのきみちゃん。
時節柄、ちゃんとマスクをしてお出迎えです。
以前、麻布十番をブラブラしたときに偶然通りかかったのが麻布十番パティオでした。
なんかよくわからないおじさんがウィンクしていたり(笑)
やはりありました!鶏そば十番156さん。
あれ以来行く機会無いなぁ〜と思っていたら、昨年近所に池袋店が出来たんですが、いまだ足を踏み入れられておりません...(^^;)ハハハ。
そんなこんなしているうちに麻布十番駅へ。
復路は麻布十番駅から南北線で永田町駅へ。永田町駅で有楽町線に乗り換えて、池袋へ戻りました。
道中もずっと『風街ろまん』を繰り返し聴きながらお写ン歩してましたが、まさにあれから60年後の東京オリンピックを迎えようとしている今の今でもボクらが知っている東京の姿が変わっていっているんですよね。
そんな変わりゆく今の東京の姿を残していくためにも、ノスタルジーからだけでは無い、今の東京を写真に残していきたいなぁ〜と思い直した『暗闇坂むささび変化』な朝写ンでした。