『本』というモノは不思議なものである。
本来はコンテンツである中身が主となり、それを楽しめば良いものだと思うが、『本』には読書して楽しむということ以外にも、本を本棚に陳列して楽しむ、いわば所有する歓びを見出す人もいるモンである。
先日こんなエントリーをアップした。
どうも利用する読者側と提供する出版社側の認識がずれている電子書籍界隈。
現状の電子書籍サービスはDRMがかかっている以上、けして紙の書籍のような『所有』という概念は保証されないというか所有ではなく、『利用』する権利が与えられているだけなはずだとボクは理解している。
が、どうも同じような価格で電子書籍を購入しているんだから、紙の本と同じ感覚でいる利用者が多いのではないか?
その辺は利用者側も認識を変えていかなければならない時期がきているんじゃないかという内容のエントリーだ。
これを書いていて思ったのは、『所有型』のサービスには所有する楽しみ方。『利用型』のサービスには利用する楽しみがあるんじゃないか?ということである。
気がつくと、いつの間にか我が家はサブスクリプション型のサービスをあれこれ利用している。これって惰性で月々利用料を払ってはいまいか?もう少し楽しみ方を変えるべきナンじゃなかろぉ〜か?ということでちょっと考える事にしたのである。
すると、やはりこれまでの所有型と同じような利用をしてたんじゃ、せっかくのサブスクリプションがもったいないのっ!!!ということに気付かされたのである。
Music Unlimitedの正しい使い方
たとえばSonyのMusic Unlimited。
当初勢いでユーザ登録したのはいいモノの、よくわからなかった。
サブスクリプションとは毛色が違うモノのボクが聴きたい音楽はAppleのiTunes Matchのおかげでどこにいても空から降ってくる。
ボクの所有する音楽アーカイブ29000曲弱の音楽がiPhone、iPad、Macさえ持っていればいつでも聴けるのである。自分好みの有線放送局を持っているようなモンなので、これ以上の環境はない。
でも、最近流行の曲を聴きたいだとか、TVで流れてたあの曲を聴いてみたいとなったとき、いちいち購入するのもどうか?という時にMusic Unlimitedの存在を知ったんでとりあえずユーザ登録してみたという程度の動機でしかなかった。
このサービス、邦楽好きにはちっと魅力度落ちるかもしれないが、洋楽好きにはハァ〜ハァ〜モンである。数百万曲モノアーカイブ、音楽DBが相手である。
最初はハァ〜ハァ〜しても、この広大な世界をどう泳いでいったら良いかわからない。
なので、最初の頃は気になるアーティストの全アルバムをプレイリストにして聴いたりしていた。
が、もう何年も好きな曲のシャッフルで効くことに慣れてしまっていたんで、こういう音楽の聴き方は飽きるのである。
そろそろやめようかなと思ってたところに先ほどの『利用型』サービスの楽しみ方は利用型ならではのモノがあるのでは?と、それまで相手にもしてなかった、毎週更新されるオススメプレイリストを聴くようになった。
「洋楽業界OBファイル」や「Free Soul」だの「カフェ・アプレミディ」だの。
既成のプレイリストだけでもけっこう楽しめるのである。これまであまり聴いてなかったジャンルとの出会いとか、好きな曲に似た楽曲を集めてくれているプレイリストでさらに好みの曲と出会えたり。
Music Unlimitedで出会って、気に入った曲をiTunes Storeで購入して自分のライブラリを増やしていくという『利用型』で楽しみ『所有型』の楽しみに繋げるといった利用が出来るようになったのだ。
この音楽DBともいえるサブスクリプションサービスにはなによりもナビゲーションが必要である。
オススメプレイリスト機能もその一つだが、サービス利用者の聴視履歴を元に自動的に好きそうなプレイリストを配信してくれる機能とか、さらなる自動化が進むとサブスクリプション・クラウドサービスならではの広がりが出てくるんじゃないだろうか。
年末年始、ほぼ雪で外出できず家に引きこもりっきりだったンで、Music Unlimitedを利用する時間が長くなり、思ってた以上に新たな音楽の楽しみ方を教えてくれた本サービスを見直した次第なのである…(^^;)ハハハ。
ちなみに年末年始に2014年のBillboard TOP100を参考にTop50のプレイリストを作ってみたが、50曲中本サービスで配信されていないのはアナ雪の主題歌とTaylor Swiftの“Shake It Off”の2曲だけだった。50曲通して聴いてみるとこの年に流行った曲の傾向とかわかったりしてなかなか面白いモンである。
dマガジンの正しい使い方
ここ数年、雑誌を買っていない。
Mac fanにしろナショナルジオグラフィックにしろNewtonにしろみんな電子書籍だ。雑誌というモノは読んだ後の処理に困るのである...(^^;)ハハハ。
なのでdマガジンがサービス開始したときも無視してきた。なによりドコモのサービスっていまいちだし、アプリの作りのダサさが耐えられなかったからである(笑)
それが、これまた年末年始の引きこもり生活の気まぐれで、ユーザ登録してしまったのである。
正直、全然期待していなかった。
まぁ一か月パラパラみて終わりかなと思っていたのである。
最初のうちは興味ある雑誌を眺めるだけで終わっていた。
これもせっかく男女問わずいろんな雑誌のアーカイブだし、DBでもあるンだから、いい加減『雑誌』というパッケージに拘らずに、記事単位でバラバラにして同じような記事をまとめてナビゲーションするようになれば『利用型』ならではの使い方ができるのに。
これも叶わぬ夢なのかと思っていたら、すでにそういう機能があるのであるっ!?
dマガジンのトップページはこんな感じ。やはりインタフェースはダサい。改善の余地ありありである。
ボクが感心したのが【記事から選ぶ】のタブ。
各分野毎にカテゴライズされており、これが開くと、
このようにカテゴリー毎に様々な雑誌の記事が雑誌横断で読めるのである。
また【おすすめ】のタブではホットキーワードや特集単位で雑誌横断の記事が読めるのである。
まだまだ改善の余地があるものの、例えば【記事から選ぶ】については昔のディレクトリ型の時代のYahooのネットサーファー職人みたいな人たちに編集させるとか、【おすすめ】についてはユーザの視聴履歴をベースにより適切なリコメンドを表示させるとか出来るようになれば、さらにユーザビリティが向上するんじゃないだろうか。
雑誌編集ならぬサービスの編集者としてアナログ的な人力作業とデジタルならではの自動化を組み合わせるとさらなる広がりが期待できるのだが...。
そこまでがんばれるかな?ドコモさん…(^^;)ハハハ。
もちろんのこと気に入った記事についてはクリッピングが出来て、【マイページ】で後で読むことも可能である。
音楽のサブスクリプションサービスでやっているようなことを雑誌でもやり始めているのである。
書籍と違って雑誌は『フロー』な情報なんでよりこういったサービスに向いてるんじゃないだろうか。
『利用型』には利用型ならではの価値を見出すべき
現在我が家で登録しているサブスクリプションサービスとしては、この他にもゲームだったり、映像系だったり。
こんだけあれば雪で家に閉じ込められても暮らしてイケそぉ〜な雰囲気ですが...(^^;)ハハハ。
コンテンツサービスを楽しむにあたっては、これまでの『所有』を前提とした楽しみ方をする限りは、月額利用料を毎月支払うほどの魅力は感じないだろうということ。
音楽であれ、雑誌であれ、利用者側もサブスクリプションサービスならではの『利用』する権利というモノをしっかり認識すべきと思うんです。
一曲、アルバム一枚、雑誌数冊といったこれまでの所有の概念はこのさい捨ててしまいましょう!
サブスクリプションサービスの利用者には、数百万曲のデータベースや数十冊の雑誌データベースを利用し尽くす権利があるんです。
データベースをすみからすみまで貪り尽くす!そのためにはどうやって楽しんでやろうかという意識が必要なんだろうと思うんです。
また、利用者をつなぎ止める・飽きさせないためにはサービス提供者側も、人力のまとまりやデジタルの意外性で様々な角度からナビゲートするためのリコメンド機能が必要です。
音楽に限らず、雑誌でも現時点でここまでやってるんだというのは正直意外でした。
やはり、さらに進んでKindleストアみたいなところでもサブスクリプションモデル導入ってわけにはいかないすかねぇ〜〜神様プリィ〜〜〜ズ!(^人^)。