『天下寿司』というと、ボクの青春の1ページを飾る寿司屋だ。
というのも学生時代下北沢の南口を住処としていたボクが通った寿司屋が下北沢南口商店街の天下寿司だったからである。
たしか、引っ越してきたその日に引越祝いと称して天下寿司に入り、そこで初めて食べた平目のえんがわの味に衝撃を受け、以来通うようになったはずである。
ちなみに平目のえんがわに関しては、ある日一度に調子付いて5皿くらい食べ続け、脂が廻りすぎて気持ち悪くなって以来、一回の御入店に一皿と硬く心に誓って今日まで至っている。
そんな青春の香ばしい想い出が詰まっている天下寿司だが、下北沢を離れてからはどこの天下寿司にも足を踏み入れたことがない。
なので、もう四半世紀以上通っていない換算になるが、生活圏内に天下寿司が無いワケでは無いのだ。
うちの相方さんと出会い、池袋文化圏で生活するようになり早干支一周を越えたワケではあるが、この西一番街の天下寿司はほぼ12年前からなんだかんだと通り過ぎているのである。
金沢から池袋に戻ってきてからのこの2年は毎日このお店の前を行き来して職場と家を往復しているだ。
なのに、一度も足を踏み入れたことがなかった。
それがある日突然うちの相方さんが、
『回転寿司に行こう!あのロサ会館の手前にあるヤツ!!』
と言い出したのである。
てっきり、立ち食いの魚がし日本一か仙台平禄だろうと思い、付いていったらおもむろに天下寿司に入っていったのであるっ!?
別に天下寿司を毛嫌いしているわけでもなんでもないのだが、なぜかこれまで入る気がしなかったのだが、これぞ天機!と思い、ボクは四半世紀以上振りに天下寿司に足を踏み入れたのである(笑)
ちょっと前までは週末ともなると中国な観光客でお店の前がごった返していた天下寿司さんだが、この日は行列はあっても店内で待つ程度の行列。
気になったのは、メニューが解り辛いというか、ほぼないというか...(^^;)ハハハ。
ボクが好きそうなのはこのおすすめメニューにあるんで問題はなさそうだが...。
まず驚いたのは、寿司が廻るベルトコンベアがちゃんと機能しているということである。
そもそも回転寿司はベルトコンベアで寿司を廻して、廻っている好きなお寿司をお客さんが取っていただくというのが、基本的なシステムであったというのは記憶している。
が、『あったという記憶』であり、昨今の回転寿司はおすすめメニュープラカードが廻っているだけで、ほぼ寿司のデリバリーとしてのコンベアは機能していないというのがボクの理解の範疇だったのだ。
実際、二年間思う存分寿司塗れになっていた金沢の回転寿司は、店名に回転寿司とあるモノの、職人さんに注文して握ってもらい、出てくるというシステムが当たり前でアリ、なぜか目の前にガラガラのコンベアが廻っているという飾りでしかないのが普通だったのだ。
これはどういう王政復古、懐古趣味なのだろうか?と席が空くまで待っている間にうちの相方さんに質問してみたところ、常に冷静なうちの相方さんはなかなか現実的な解を提示してきたのである。
♀『最近外国のお客さんが多いから、メニューじゃ解り辛いから実物を廻して判断してもらってるんじゃない?』
と。
これはなかなか芯を突いていると思われる。メニューは必要最低限のモノのみ。あとは廻っている皿の下に書いてあるアルファベットを見て判断してね!と。
というワケで、四半世紀ぶりの天下寿司を堪能するのだ。
まずは目の前を通り過ぎるときに聞こえた店員さんの一言、
店『本まぐろの中トロ、本日はこの四皿で終了です!』
そんなこと言われたら食べないわけには行かないのだ。
まずは本まぐろの中トロから。旨くないワケが無い。
魚では都内に比べて圧倒的な勝利であるはずの金沢のお寿司屋でも、ことマグロに限り都内の勝ちである。
血抜きの技術に秀でている都内の職人さんの捌くマグロだけは、金沢よりも旨いのである。
そして、学生時代にボクを夢中にさせた平目のえんがわ。
やっぱり旨し!でも一皿だけで我慢(笑)
オススメには真鯛の昆布〆があったモノの、やはり鮮魚でということで真鯛。
ちとプリプリ感はモノ足りないモノがあるものの、でも都内で食べる真鯛の握りの中では旨い方。
金沢以来、ついつい白身にばかり目が行ってしまい、条件反射で手が伸びた白身のたたき。
なんの白身?(笑)
これは紅ずわいがにですかね?蟹みそ軍艦。かなり久々に蟹みそをいただきました...(^^;)ハハハ。
そしてビントロ。庶民の味方。庶民の中トロ感が泣けてきます...(T^T)涙。
おすすめのなかからはしまあじ。
これは脂が載ってて美味しゥ〜ございました。
活きも良くコリッとプニッの中間くらいの食感が金沢の日々を思い起こさせます...(遠い目)。
そしてげそ。
イカは博多なんだろうけど、意外や意外。天下寿司のゲソはなかなかイケてます。
ふとコンベアに目をやると鰹のたたきがやって来たので。
見た目はかなり艶っぽく美味しそうに見えたんですが、やはり高知ひろめ市場でいただいた塩たたきと比べるといたしかたなく...(^^;)ハハハ。
さらにオススメから炙り鯖。
調理モノはネタだけ勝負ではないんで、けっこう想像以上にイケていたりするモノで。
この炙り鯖もそんなネタの一つ。炙られた焦げ目と甘味を増した脂で舌を幸せにしてくれます。
これはおろしポン酢でいただきます。
そろそろ第四コーナーを回る頃合いで、本まぐろの赤身。
見た目は赤身っぽいのに、よくよく見ると、かなりきめ細かいサシが入っているかのような脂のノリで、あっさりというよりも、赤身と中トロの間くらいのシロモノ!
ボク的には一番好きなマグロの味といった風。
金沢時代に確立したボクの〆その一のうなぎ。
肉厚のうなぎですが、やはり焼きたてではないんでその辺は割り引いて...(^^;)ハハハ。
そして〆その二の玉子でフィニッシュです。
いやぁ〜都内の回転寿司の中ではなかなか頑張ってる方かもな天下寿司さん。
以前は池袋で回転寿司というと若貴ばかり行ってたけど、若貴よりもいまは天下寿司の方がネタはいいかも!