そんなこんなで竹橋パレスサイドビルの『タカサゴ』さんでランチを摂った後は、東京国立近代美術館へ。
真冬の間寒くて文化活動する気も起きなかったんですが、たまに温かくなる日もあった3月中旬の週末のお話。
この冬はなかなか明けないようでいて、でもたまに突然温くなる日もあったりして、よくわからない天候が続いてましたが、この日は写真の通り雲一つ無いピーカンな快晴!
以前はここを通り過ぎて隣の国立公文書館に向かうこともありましたが、この日はこちらの『中平卓馬 火−氾濫』を観にやってまいりました。
このエントリーを公開する頃にはとっくに終了していると思いますが、けっこう長く二ヶ月間の期間で開催されておりました。
中庭にはお茶屋さんのようなスペースがあり、海外のインバウンドさんたちが休憩していらっしゃいました。
昔ながらの公的機関の入館が久々だったので、なんかこういう昭和な入場券売り場の光景が新鮮でした(笑)
入口には有名な森山大道が撮影した中平卓馬のポートレート?のコンタクトプリントが拡大されて展示されてました。
そもそも写真に興味を持ったときに初めて購入した本が森山大道が誰かも知らずに森山大道氏の『路上スナップのススメ』だったンで、案の定読後は森山大道氏の写真集や氏の経歴を遡って情報収集していったんで、ボクの写真歴の初期段階で「アレ・ブレ・ボケ」のPROVOKEには辿り着き、『中平卓馬』の名は目に入ってきてたんですよね。
なので、最初のウチは純粋に中平卓馬に興味を持ったというよりも、森山大道の盟友という立ち位置で興味を持ったというのが始まりです。
館内は回遊しながら氏の歴史を振り返るような展示手法でした。
まずは『hapter1 来るべき言葉のために』。
そして『Chapter2 風景・都市・サーキュレーション』。
さらには『Chapter3 植物図鑑・氾濫』。
中平卓馬を理解したくば、まずは『なぜ、植物図鑑か』を読まないという筋道は無いというくらいにまずは読むべきなんでしょうが、毎回ミュージアムショップで見かけて手に取っては、圧倒的な文字量に押されてそのまま元の場所に置いて帰ってしまうんですよね...(^^;)ハハハ。
こちらはあまり作品として意識して無かった『Chapter4 島々・街路』。
最後のチャプターが『Chapter5 写真原点』。
氏の作品というとどうしても初期のPROVOKE時代の印象が強く、以前は初期の作品ばかり目にする感じだったンですが、
昨年の夏に神奈川県立近代美術館葉山館で開催していた『挑発関係=中平卓馬×森山大道』を観に行った際に、この記憶喪失後の一連の縦位置の写真を観たときにおよそ静物を撮っているにも関わらずプリントから溢れんばかりの生命力を感じたことで、この最後の作品群が好きになってしまいました。
今回の『中平卓馬 火−氾濫』では圧倒的な質量で展示されていて圧巻でした。
最近の展覧会で残念なのが、これも昨年来続いている物資不足の影響なのか、開催中に図録の準備が出来ていなくて購入出来ないってことなんですよね。
せっかく鑑賞して気持ちが高ぶっているときに、家に帰って図録を観ながら再確認したいのにそれが出来ないというのがなんともモヤモヤです。
文化活動って不思議なモノで、写真展を観に行かないときには全然いかなくなるんですが、逆に行き出すと毎週のように美術館に限らず小さいギャラリー問わず観て廻るようになるんですよね(笑)
というワケで、『中平卓馬 火―氾濫』を観に行った日の翌日にはこれまで縁の無かった兜町にまで足を伸ばしておりました。
東京駅八重洲口からテクテクと途中寄り道をしながらお写ン歩がてら兜町まで歩いてきまして、お目当ては兜町第6平和ビルの地下1F『AA』で2024年3月16日(土)〜26日(火)まで10日間開催されていた『私が撮りたかった女優展』でございます。
以前から何回か開催されている展示会で写真集もこれまで3冊ほど出版されているという人気企画なんですが、新進気鋭の写真家とその方が撮りたい女優をマッチングして撮影するというスタイルを続けているようで、今回の会場はまずは右から反時計回りで廻っていくと、最初の組み合わせ(写真家×女優)はみやじまなほ×玉城ティナ。
一部フラッシュを使用した写真もありましたが、基本的に陰影を巧みに操って撮影している感じ。
その隣はaika×恒松祐里。
今回の5組の中ではドレスアップした女優を主題に置いた唯一全展作り込まれたポートレートでしたね。
この辺で気がつきましたが、どうやらボクは展示順を逆走しながら観ていたようです(笑)
こちらはpiczo×八木莉可子。
作り込まれたポートレートと日常のスナップ的な両方からアプローチした作品群。
女優のONとOffの表情を見比べてみるのがおもしろい展示でした。
左右の展示との区切れがはっきりしてなくて、一瞬通り過ぎてしまいそうだったんですがこちらは角田航×小宮山莉渚。
まだ年若い女優さんの今の表情を残しておこうというようなアプローチ。一見この手の写真集ってアイドルがアーチスティック方面に方向転換していくタイミングで出したりしそうなんですが、この瞬間だけではなくこの女優さんが大人になっていく過程をアーカイブするときに改めて魅力が伝わってくるんですよね。
最後は三森いこ×松本穂香。
観ていても一番解りやすい作品群。
今回は「日常感」を表現したく、実際の写真家の部屋をそのまま使用して撮影したとのことで狙い通り女優の写真というよりも、自分のうちに遊びに来た彼女をスナップしたような錯覚に陥る作品でした。
やはり「女優」を被写体とした作品の展覧会だからか、普段ボクが一番足を運ぶ街中スナップの展示に比べてけっこうなお客さんが入ってました(笑)
ポートレートを撮影するのはあまり興味無いんですが、たまにはポートレートの展示会もいいですね。