金沢にはひがし茶屋街、にし茶屋街、主計町と三つの茶屋街がある。
普段の生活ではあまり縁のないところだが、先日主計町の宴席のご相伴に預かれる機会を得た。
主計町の茶屋街は観光客で賑わうひがし茶屋街の道を隔てた手前、浅野川のせせらぎがきこえるほどのまさに川沿いの一画にある。ひがし茶屋街の賑々しさとはちょっと一線を画した静かな佇まいである。
ちなみにタイトルにある『女川』とはこの浅野川のこと。
金沢という街は以前の街の中心である金沢城周辺の北東を流れる浅野川と、逆の南西を流れる犀川に挟まれている。
川の雰囲気、表情で浅野川を『女川』、犀川を『男川』と呼ぶらしい。
この主計町茶屋街は写真の通り、昔の町屋家屋が建ち並ぶ一画である。
歩道も整備されており、散歩するのにも趣のある金沢文化を感じられる。
先日の宴会の舞台は、浅野大橋から主計町茶屋街に入りすぐのところ。
Shiki inc./主計町 嗜季|Shiki
趣深い町屋の家屋と素敵な料理の数々で、金沢のひとときを思い出の記憶に。
お店に入り、一階はカウンターとテーブル席が少々。
団体は二階の座敷に通されます。
残念ながら、お座敷の写真は取り忘れてたンで、他店の写真だがいわゆる朱壁、弁柄色の壁のお座敷に通されました。
入った瞬間に艶やかなお茶屋さんの雰囲気に包まれます。
こういう席は初めてなんで、ウキウキドキドキ(笑)
これで、芸妓さんとか来たらどぉ〜なっちゃうんだろう?と妄想しつつも、今回は食べて飲んでの宴席だけです…(^^;)ハハハ。
ネットで後々調べると、この『嗜季』さんは今年の3月にオープンしたお店らしく、新進気鋭の若き料理人が腕を振るっているとのこと。
といっても、カジュアルに徹しているわけでもなく、この風情に合わせた丁寧なホスピタリティを発揮してくれていました。
料理の膳はテーブルではなく、個々の席の前に昔ながらの御膳が置かれ、そこに料理が順番に振る舞われていきます。
その際に一つ一つ食材から料理方まで丁寧な解説が付き、その接客の丁寧さと目の前の料理の美しさ、そしてなにより早く喰いてぇ〜との下世話な本能が充ち満ちて、すいません以降料理の写真が続きますが、料理名だの食材だのすっかりメモするのも忘れてまして、ぼんやりしたことしかかけません......m(._.)m
最初の膳はこちら。
手前左は鯛のお造りだったかな?上にのったパリパリに素揚げしたのが美味しかったモノのなんだったか失念...。
奥は白子酢。やはりこの時期白子はたまりません。
手前右は五郎島金時。
お椀はいきなり松茸です。それとのど黒。なんと贅沢な!?
これはそもそも忘れました…(^^;)ハハハ。
カラカラに干からびているようなのは昆布の素揚げ。これだけも美味しぅ〜ございました記憶があります...。
この時期まるでメインのような扱いの香箱蟹。
先週の金曜日から、今週火曜日、この日の水曜日と実は続けて香箱蟹三昧だったンですが、やはりここ嗜季さんのお仕事が一番見事でした。
丁寧に殻をすべて剥いた状態の脚の身、そしてその下には内子と外子が余計なカス抜きで取り出されており、殻の内幕もしっかり取り除いてありました。
加能蟹にくらべて小振りな香箱蟹でも、この丁寧な仕事ぶりで十分満足できるお品です。
生意気にも最後にちょっと殻に残った内子外子に日本酒を入れて一杯!
そして、奥の茶碗蒸し。これがまた香箱蟹の身と蟹ミソ仕立てのモノでお見事っ!
ごめんなさいっ。夢見心地がピークに達したかと思った一瞬でした。
最後の膳がこれまた能登牛のすき焼き風。と揚げ物。
揚げ物の具は失念してます。すいません。
ただ、面白いというか美味しかったのが、揚げ物に付いている稲穂の素揚げ。稲穂に付いたお米がポン菓子のようにふくれていて、遊び心が感じられます。
そして、能登牛。金沢に来て初めての能登牛。良いお肉を使ってるんでしょうが、ホント柔らかくてジューシーな美味しいお肉様でございました。
関東生まれの関東育ちなんで、加賀料理ってどんなんやろ?と思ってたんですが、東夷向けの濃い味付けなワケでもなく、京風の薄味でもなく、素材の味わいを最大限に活かしてでも、しっかりと調理をしているという丁度いいお仕事ぶりでございました。
締めは抹茶と栗ようかん。
夢見心地で浮ついたお口周りをスキッとさせていただきました。
お偉いさん相手だったんで、この日の話の内容もそうとう仕事の会議では味わえないような濃い内容でしたが、嗜季さんの料理の数々には満足という感覚以外に、幸せな気分にさせられました。
是非是非、今度はプライベートで金沢にいる間にうちの相方さんをお連れしたいモノです(笑)