年の瀬なのである。なにごとかやはり振り返る時期なのである。
というわけで、ボクの趣味に費やす時間の中でも多くの時間を割いている『読書』について今年のふり返りをするのである。
と、昨年同様の入り方をした上で2015年の読了本の振り返り!
目次
2015年の読了数
ここ数年、なんだかんだと読書にかける時間が少なくなっており、年間読了本目標数を70冊に下げたわけですが、今年はそれでもわずかに届かずっ!?
67冊という結果に終そぉ〜です。
結構今年は読みまくった感はあったんですけどねぇ〜...(^^;)ハハハ。
ちなみに、メディアマーカーで記録を取るようになってからの読了本の推移はこんな感じ。
- 2014年 → 50冊
- 2013年 → 31冊
- 2012年 → 48冊
- 2011年 → 52冊
- 2010年 → 142冊
- 2009年 → 148冊
- 2008年 → 137冊
2008年〜2010年にかけての100冊越えの原動力は、この時期やたらとビジネス書やらLifeHack系の書籍を読み漁ってたから。
2010年に限定するとほとんど電子書籍元年絡みで業界系の書籍を読み漁った結果です。
その後仕事のプレッシャーが増えてガクンと落ちて、2013年の31冊にはかなりショックだったんですが、金沢転勤の昨年からなんとか50冊は越えるまでに余裕も出来てきました(笑)
来年は今年の目標の70冊は越えたいところですなぁ〜。
2015年読了本のカテゴリ傾向
今年どんな分野の本を読んだかというとこちら。
- 歴史 → 28冊
- ノンフィクション → 8冊
- 文芸小説 → 5冊
- エンターテイメント小説 → 9冊
- SF・ファンタジー → 4冊
- エッセイ → 3冊
- 歴史小説 → 2冊
- 実用書 → 7冊
- ビジネス → 1冊
- 合 計 → 67冊
去年今年とやたらと『歴史』のカテゴリーが多い。
特に今年は。
これは、満州マイブームによる昭和と戦争モノやサンカから始まった被差別民の歴史もの、さらに続いてケガレ思想といえばということで、11月末から現在に至り突然読み漁っている『逆説の歴史』シリーズの影響。
どぉ〜も最近の傾向は一度何かにハマるとその分野の関連ボンにまで手を出して、読み続けるというコトが多いらしい。
SF好きを今年も自称してはいるモノの、結果は4冊。しかも今年は全てグイン・サーガシリーズのみっ!?
これはおかしい!絶対おかしい!!SF本は結構買ってるんだけど、なぜか読み進めていないのだ...。
もぉ〜夢見る少年ではいられないのだろうか!?!?
『ビジネス』カテゴリーが1冊というのもなんか、今の気分を反映してます...(^^;)ハハハ。
現実世界に興味ないんでしょうねぇ〜。自己啓発とかもぉ〜十分かな?といった感じ(笑)
2015年読了本の星取り結果
では今年読了した66冊の内、どれだけ気に入った本があったかというと、こちら。
☆5 0
☆4 4
☆3 52
☆2 10
☆1 1
残念ながら、時間を忘れるほど夢中になって読み耽ったという☆5は0冊。
だいたい、その年のBook of the YEARはこの1冊!っていうのが毎年ビシッと決まるんだけど、今年はそこまでの本はありませんでした。
なんか、悲しい......。
次点の☆4にしても4冊程度。
けっこうテーマにハマって読み漁った割には、響いた本が少なかったのが今年の傾向です。
これは☆3が如実に現しており、☆3で52/67冊というほとんどを占めています。
それだけ、ふぅ〜んまぁ〜まぁ〜かなという本がほとんどで、可も無く不可も無くな結果となりました。
2015年のBook of the YEAR!!!
そんなこんなな特徴のないBook of the YEAR 2015ですが、☆5無しで、☆4が4冊なんであまり選考に悩ますこと無く発表なんですが、あまりに☆3が多いンで、今年はBEST5のみとします。
第1位『翼をもつ少女』山本弘
第1位は今年の1月1日に読了した今年初の読了本が堂々第1位!
大好きなSF作家山本弘の新シリーズ。
おそらく本邦初であろう本格学園ビブリオバトル小説っ!
ボーイ・ミーツ・ガールな学園ものという青春小説の王道、かつSF好きな主人公と最近よく耳にする『ビブリオバトル』。
ストーリーはいたって普通の青春小説だが、本好き、特にSF好きにはたまらない仕掛けが満載なのだ。
本好きなら共通の悩みというかむしろ諦めでもあるのが、本に関する情報の共有&交流ではなかろうか。
そんな本好きならではの境遇を持ち合わせた主人公の空に本好きな読者は感情移入させられていく。
そして出会う美心国際学園(BIS)のビブリオバトル部。
こんな部活があったら絶対入っていたであろう、夢のような部である。
自分が好きな本を多くの人にプレゼンして、『読んでみたいと思った本』を投票してキング本を選定するビブリオバトル。
表彰されるのはプレゼンテーター本人ではなく、あくまで『本』である。
同じ本好きがあつまる部活では本に関する様々な情報を共有し合う。
登場人物のそれぞれが得意分野が異なり、SFに限らず紹介されていく情報を書評やカタログ的に読み進めても面白い。
第2位『甘粕大尉』角田房子
今年もマイブームとなった満州モノ、昭和と戦争の中からはこの1冊。
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時代の梟勇、満州の裏の帝王、謀略の士。
満州の時代を彩る『甘粕正彦』のイメージは常に『闇』に充ち満ちている。
満州モノを読み進める上で、甘粕は多かれ少なかれ必ず登場する。
しかし、どれもこれも闇を蠢く甘粕の信条と心情を深く掘り起こすモノには遭遇できなかった。
したがって、本書を読むまでのボクの甘粕に対するイメージはいかにもステレオタイプな闇の帝王のイメージでしかない。
ビジュアル的にはラストエンペラーで坂本龍一が演じたあの無口で不気味な甘粕のイメージだ。
本書は、歴史書にはとどまらないノンフィクションであるが故に、作者の興味のままに一人の日本人としての『甘粕正彦』が十分に描かれている。
ただし、本書のタイトルは『甘粕正彦』ではなく元帝国陸軍憲兵大尉であったころの『甘粕大尉』である。このタイトルからして、単に満州の甘粕ではないその前時代を含め、後の甘粕自身を形成する一大事件から話が始まるのである。
そのきっかけは関東大震災。最初の舞台がなんと金沢。そして金沢憲兵分隊所属の中村久太郎上等兵の話から始まるというのもなんともはや、現在金沢で暮らすボクとしては入り込みやすい(笑)
そして、この金沢憲兵分隊が関東大震災への応援で出動命令がくだり、東京憲兵隊本部に着任し、麹町分隊所属となったところで、麹町分隊長であった甘粕大尉と遭遇するのである。
しかし、この日の夜、麹町分隊所管のところで大杉栄殺害事件が発生する。
甘粕はこの事件の首謀者として裁かれ、まさにその後の陸軍の闇を甘粕自身の肉体と精神の奥底に止めたまま、出所後のフランス生活、そして舞台を満州に移すのである。
『甘粕正彦』という人間性は、全て表紙の写真が物語っている。
諦観と慮りの眼差しとともにその瞳は漆黒に満ちており、信念の人とも傍若無人な悪漢ともとれない、ある種不思議な人間性が感じられる。
この『諦観』というキーワードは本書を読み進める上で、甘粕大尉から甘粕正彦そして満州の甘粕と時代を駆け上がる甘粕正彦の常に心の底辺にこびり付いた澱のように彼の人間性を支配することとなる。
第3位『聖なる怠け者の冒険』森見登美彦
第3位も好きな作家の一人、いまは京都文藝の大御所森見登美彦の1冊!
朝日新聞出版 (2013-05-21)
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森見登美彦は『文体』の作家だと思っている。
文体の妙が、彼独特の少々時代がかった台詞回しをより生き生きとさせる。
小説はやはり文体である。
しかし、時として独特の文体は読者にとって作者が描く物語に没入することを邪魔する場合がある。
そういう意味では、作者の文体と自分の感覚が合うかどうかということは読書という行為の中で、非常に重要なファクターなのだ。
この森見登美彦の文体の場合は物語はとても面白いのに、文体が独特であるが故に読者を選んでしまうタイプかもしれない。
本書、『聖なる怠け者の冒険』はまさに森見登美彦の描く物語の中でも王道中の王道である。
・なにもしない主人公。
・奇妙な変人・怪人。
・リア充な友人。
・まっすぐだけど少々ずれているテッテケテーな少女。
・狸。
・京都のお祭り。
・街を挙げての大鬼ごっこ。
デビュー作の『太陽の塔』、『四畳半神話体系』、『有頂天家族』、『夜は短し歩けよ乙女』と京の街を舞台装置に繰り広げられる現世と常世が微妙に重なる摩訶不思議な世界観。
そして、バタフライ効果のようにちょっとした蝶の羽ばたきが、巡り巡って京の街を覆い尽くすような大騒動といったプロットはマンネリかもしれないが、いちばん森見登美彦の特長を活かせる物語である。
本作も期待を全く外さなかった。
京都好きにはたまらない物語。
第4位『ワセダ三畳青春記』高野秀行
☆4つの残り第4位はエッセイからのこちら。出版年はかなり前ですが積ん読状態から今年よぉ〜やく読みました...(^^;)ハハハ。
作者はあの泣く子も黙る早稲田大学探検部出身の高野秀行。
早稲田大学探検部と言えば、川口浩探検隊以上に世界各地の未開の地を踏破しリアルな探検を探求する部活以上の組織、奇人変人の巣窟である。
本書では探検部での活躍は横に置いておき、作者が過ごした早稲田の三畳一間、家賃月1万2千円のぼろアパート、『野々村荘』での住人達や探検部絡みのケッタイな人々との悲喜こもごものエッセイのような物語のようなものである(笑)
とにかく、三畳一間での生活というモノがボクには信じられず、そこにさらに次から次へと出入りしていく周りの人々のケッタイさといったら、フィクションじゃないの?と疑いたくもなるのだが、こういう現象はボクも実際経験している。
こういう人たちは磁力の強い人がいると集まってしまうモノなのである(笑)
本書では前半から中盤にかけて、野々村荘を中心とした信じられないようなケッタイな人々が巻き起こす抱腹絶倒のエピソードが続いていくが、後半急に作者の中での社会の範囲に変化が訪れる。
野々村荘に育まれながら過ごしてきた社会の外についに目を向ける作者。
きっかけは『彼女』である。
もっと彼女のそばにいたい。彼女と長い時間を過ごしたい。
そうして作者は11年間暮らしてきた野々村荘を後にして、野々村荘の外の社会に出て行くのである。
このモラトリアムの期間がまるごとボクと同じ期間で、さらに彼女をきっかけに長年暮らした家を出て行くというストーリーがまるで我が身に起きたことと同様で、しみじみ身に滲みるラストのほろりなのである。
このラストだけでさらに☆一つブラス!
なんかほっこりなので☆☆☆☆なのでございます(笑)
ただただおバカではない、ちょっとしんみりほろ苦いモラトリアムからの卒業のお話なのである。
第5位というか番外編『逆説の日本史』井沢元彦
第5位は1冊の本と言うよりも、シリーズまとめて番外編。
小学館
売り上げランキング: 68,543
満州マイブームに続いて、今年テーマ読みして読み耽ったのがサンカをきっかけに入り込んでしまった、被差別民をテーマにした数々の書籍。
路地という現在もまだ続いているモノから、河原者・非人、弾左衛門といった歴史上のモノまで。
もともと古代や南北朝時代の闇の歴史好きなムー少年としては、従来言われているまつろわぬ者とか山の者といった歴史の表舞台には出てこない影の人々と、これら被差別民と言われてきた人々の歴史に興味が沸き、必然的に『ケガレ思想』を思い出したのだ。
元々この逆説の日本史シリーズは単行本刊行当初からリアルタイムで購入してきたシリーズだったが、江戸時代に入った辺りから興味が薄れ、以降買い求めることが無かった。
が、今回久々に『ケガレ思想』を思い出し、4巻から順不同で11月末から12月にかけて、結局1巻から8巻まで再読了と。
けっこう、1巻ののっけから井沢元彦は国内の歴史学者に挑戦的なので、如何に現代の大学の歴史学者がダメなのか!ということを論破するための文章が冗長で説教臭くて読みづらい面も無きにしも非ずではあるが、ボクは井沢氏が主張する日本という国の歴史と、歴史に限らず現代のボクら日本人の精神性にも無意識のうちに影響を与えている以下の4つは全面的に支持するである。
- 『和』の精神
- 怨霊信仰
- 言霊信仰
- ケガレ思想
右左のイデオロギー、無宗教、無党派層あらゆる思想信条に限らず、意識的では無く無意識のうちの日本人という民族はこの4つの影響下にあると思われるのだ。
これは現代に生きるボクらであっても同様である。
本シリーズは古代から始まり、まだ現代に向けて刊行中であり、完結を迎えていないが、どの時代であっても歴史の変わり目というところには如実にこの4つの精神性の影響の元で歴史が流れてきている。
が、歴史をそういう視点で教えてもらってきたことが無いボクらとしては、一度この国の民族とは何者なのか?ということを知るための必読書だといってもいいかもしれない。
以上、Book of the YEAR 2015でございました。
来年は70冊以上かつ、☆5な本にいくつか出会えるといぃ〜ですなぁ〜。