ボクはひとより少しばかり方向が音痴である。
方向が音痴である人は得てして地図が読めない。
しかして、ボクは『地図が読めない男』でもあるのである。
しかし、ひとより少しばかり方向が音痴だからといって、街歩きが苦手なわけでは無い。
目的地に向かって効率よく進むことに難があるだけで、特に目的を持たずに街をぶらぶらする分には、ひとより少しばかり方向が音痴であることになんの支障も無いのである。
そんなボクは街歩きが好きである。
これといった目的も持たずに感性の赴くままに小径を歩き進むのが好きなのだ。
今の時代、スマホさえ持っていれば自分がどこ辺りにいるかくらいはすぐに解る。
なにより道というモノは必ずどこかに繋がっているのであるから、富士の樹海でもあるまいし自分の来し方行く末を見失うリスクはどこにも無いのである。
ところで金沢という街は水の街である。
北西の方角は日本海に面しており、金沢港、金石港といった港を有する街ではあるが、街の中心部から遠く離れているため、港町という雰囲気では無い。
しかし、街の中心部の両端が浅野川、犀川という河川に挟まれており、その街中には縦横無尽に水路が張り巡らされている。
そう、金沢は水路の街でもあるのです。
そんな金沢市内の中心部を流れていく水路の一つが鞍月用水。
その歴史は古く、1200年前が紀元とされており、前田家の金沢城入場後に城の防衛も兼ねて整備が進められたものとのこと。
金沢の観光名所とはちょっとルートが異なるこの水路に沿って、ぶらぶらとするのが金沢の市井を観るのにちょうどよく、ちょっとしたボクの散策ルートになっているのです。
そんな鞍月用水の一部をご紹介!
スタートは繁華街近くのこの辺りからにしときましょう。
ここは21世紀美術館の脇を流れる用水です。この先さらに兼六園の方から用水の水が流れてきます。
21世紀美術館から、21世紀ロード柿木畠に入ります。小振りなお店が軒を重ねる小径の脇を流れる用水のせせらぎの音が染みわたります。
21世紀ロードの突きあたり、百万石道路の香林坊交差点を越えて109の裏道へ。
この辺りからまっすぐ歩いて行くと、中央小学校辺りまでは建物の前をブルーグレイの配色で統一された橋が連なるようにかかっており、ちょっと小粋な印象を受ける街並みが続きます。
中央小学校から玉川公園辺りは広い敷地の脇を幅広になった用水が流れていきます。
玉川を越えた辺りからは普通の住宅街。
マンションの脇やら、普通の住居の玄関先を水路が流れているちょっと不思議な光景に出会います。
柿木畠から六枚までやってきました。
六枚交差点の近くには鞍月用水水門があります。
水路に向かって下がっていくシャッターのようなモンが上がったり下がったりして、水量を調整しているようです。
この秋から冬にかけてどんだけ雨や雪が降っても、水路の水量が溢れ出るようなことが無かったのもこぉ〜いった設備が働いてるんですね。
六枚を通り過ぎて、中橋方面に向かいます。開けている東口とのどかな駅西の境目です(笑)
この辺りでは水路が合流したりしています。そのせいかちょっと広めのスペースにはかるがも親子が生息していたり。
中橋の北陸本線の高架線下は小振りの住宅が密集している箇所もあり、そんなところでもところ構わず流れる水路。
実はこの辺の味も素っ気も無い、裏路地的なところを流れている水路が一番好きだったりします(笑)
ここから先は幹線道路の金石街道に並行して走る路地をひたすらまっすぐ、長田、二口町方面へ。
晴れた日の夕焼け時には八幡神社脇の水路はジブリの世界に出てきそうな、常世と現世の通り道のような光景を目にすることが出来ます。
この後も水路はまだまだ北西方面に流れ進み、金石港に注ぎ込むまで続きますが、今回はこの辺にて。
所々の写真は掲載しましたが、今回の具体的なルートが解るように、Googleマップでマイマップ『鞍月用水ぶらり旅』を作りました。
もっといろいろ観てみたいという方は、是非以下のマップを参考にぶらりとしてみてくださいな。