池袋西口を出て最初の大きな交差点。マルイのところの交差点を南北に走る劇場通り。
この通りをまっすぐ北に進んでいくと右側に黄色い看板が目に付くはずである。
『なぜ 蕎麦にラー油を入れるのか。』
これはお店の名前なんだろうか?
なんのための、誰に向けた問いかけなんだろうか?
なんか挑戦的で胡散臭さを感じるこの看板を目にして以来、しばらくは無いモノとして通り過ぎていたボクである。
金沢に移住するまで住んでいた我が愛すべき池袋の家から徒歩5分にあるこのお店は、実は蕎麦屋さんなのである。
この写真でわかるとおり、黄色いやたら目に付く胡散臭い看板の端にちゃんとお店の看板が掲げられているのだ。
『麵 池袋 壬生』
これだけ見れば、あぁ〜ここは麺類のお店なんだなぁ〜とある程度その生業が想像が付く。
なのに、なぜあのよぉ〜な挑戦的な看板を出しているのだろう?
それはこの壬生さんの蕎麦がやたらと挑戦的だからである。
最初の頃胡散臭さが鼻につき無視していたボクも一度、うちの相方さんに釣られて入って以来、すっかりファンになってしまったのである。
なんと食わず嫌いであったことであろうか?情けなや情けなや......。
ここ壬生さんの蕎麦の基本はつけ蕎麦。
そして、豚バラ肉を煮込んだ肉そばか鶏肉を煮込んだ鶏そばが基本である。
それに、とろろやエビ天、ちくわ天のトッピング。
ボクがいた頃はこの他に季節限定メニューがあったくらいだったのが、一年ぶりに訪れてみたら、なんかメニューのバリエーションが増えていた。
蕎麦以外にも定食っぽいのもあるよぉ〜である。
話は戻るが、基本つけ蕎麦。
なので、茹でて冷水でしめたおそばを厚いつけ汁で食べるスタイルである。
鴨南蛮のざるそばみたいなモンかと思いきや、想像を超える荒技でもって目の前に現れるのである。
以前は平日の夜か、週末のお昼にうちの相方さんと食べにくるくらいだったんで、平日のお昼ははじめてのことだったが、お昼までまだ若干時間があるというのに、おじさま、叔父様、御爺様のほぼ♂率100%で店内は一杯。
こんなに繁盛してたんでしたっけ?この一年で名が知れ渡ったンでしたっけ??と当時の記憶以上に盛っている店内の様子にビックリなのでございました。
カウンターにはこのように天かすボックスが。
けっこう細かい仕上がりの天かすは入れ放題食べ放題です。
美味しぃ〜ンで一杯入れたがる貴兄もいらっしゃいますが、あまり入れすぎると後々つけ汁がふやけた天かすでデロデロになってしまい、最後のお楽しみを堪能できなくなってしまうんでご注意を!
また、カウンターの上からは玉子のカゴがぶら下がってます。
こちらの生玉子も入れ放題食べ放題。
夏場はちっと遠慮したくなりますが、今の時期なら入れたくなってしまいます。
ボクも最初は入れる派でした。が、やはり最後のお楽しみをちゃんと味わうには,玉子が溶けたつけ汁だとちっと違うのです。
なので、最後のお楽しみを味わいたい貴兄は遠慮しておくことをオススメします。
と、脇道ばかりご託を述べて参りましたが、よぉ〜やくご本尊様登場でございます!
こちらは『鶏そば』にエビ天&ちくわ天トッピング。
まずはざるでは無くどんぶりに盛られたお蕎麦。
これでもそばです。
丸々一匹のエビ天と丸々一本のちくわ天が載っかってるんで、いつも以上に面積を圧迫してますが...(^^;)ハハハ。
でも、是非天ぷらのトッピングをオススメしたい!
注文の都度揚げてくれる天ぷらはカリカリはもちろんのこと、そのボリューム感たるやきっと男子の胃袋を満たしてくれることでしょう。
特にエビ天は塩胡椒がふられており、つけ汁につけなくてもそのままサッパリといただけます。
ちなみに天ぷらを脇にドカしてみてもまだそばが見えてきません。
これが壬生のそばを蕎麦界のラーメン二郎とも言わしめるゆえんであり、蕎麦の上にはねぎがわっさぁ〜、天かすブワッさぁ〜〜、刻み海苔ブォアッサァ〜〜〜と山盛りてんこ盛りに盛られているのです(笑)
ほじくり返して、よぉ〜やく姿を現した蕎麦。
しかし、ここで少々冷静になっていただきたい。この後続く、つけ汁との出会いによりここ壬生さんの蕎麦は完成するのである。
なので、この蕎麦単体でくれぐれも評価しないでいただきたいのである。
なぜなら、蕎麦屋の蕎麦だからといって期待してはイケないからである。
蕎麦本来の味を堪能したいという貴兄は、この壬生さんはオススメしないのである。
ここの蕎麦は蕎麦のようであって蕎麦!ともいいきれないからである。
しっかりとコシのある堅い麵は喉越しなんぞというモノを味わえるモノでは無い。
しっかりと噛んで咀嚼するべき食べ物なのである。
なので、蕎麦単体でくれぐれもガッカリしないでいただきたい。
この後に控える、つけ汁との出会いによりこの蕎麦は蕎麦を越えたモノに変貌を遂げるからである(笑)
そしてこちらが鶏そばのつけ汁。
お気づきだろうか?器の境目に見えるうっすらオレンジ色の膜が??
いわゆるそば汁にたんまりとラー油がかかっているのである!?
まさに、
『なぜ 蕎麦にラー油を入れるのか。』
の面目躍如であるっ!?
つけ汁は醤油ダレの和風テイストに暴力的なラー油が加わり、最早蕎麦の香りや味などを殲滅させるが如くの乱暴極まりない、しかし他では味わえないラー油のごま油のコクが加わる不可思議な、でも美味しいつけ蕎麦に変貌を遂げるのだっ!!!
この味は蕎麦屋はともかく、らーめん屋でも味わえない、ここともう一つ虎ノ門のそば処港屋くらいでしか味わえない。
まさに蕎麦とラー油の暴力的かつ幸せな出会いがもたらす奇跡である。
ちなみにラー油はつけ汁の上に浮いているため、そばを半分も食べないうちに、全部口に入れた蕎麦にまとわりついて胃の中に葬り去られていることになる。
なので、ラー油味が恋しくなった貴兄はカウンターにおいてあるラー油を足して食べ続けると良い(笑)
是非一度、試していただきたい!!
ちなみに肉そばは豚バラ、鶏そばは鶏肉なんで、がっつりいきたい貴兄は肉そば、それでもできればあっさりといきたい貴兄は鶏そばをオススメする。
それとおまけにエビ天は是非ともオススメ!!!
そして最後のお楽しみ。
カウンターの角に置いてあるそば湯である。
これをしっかりと味わいたい貴兄は、先ほど注意したとおり、天かすは余り入れすぎず、生玉子はできれば入れない方がいい。
サラサラ具合と味がゴッチャになって良く味が出ないと思うので。
器に残ったつけ汁1に対してそば湯2.5〜3くらいがボクのオススメである。
そば湯を器に注いで、その上から魚粉を2掛けくらい。
これがベスト!
これまでラー油で辛ぇ〜辛ぇ〜言ってて口の中が麻痺しているせいか、ラー油がほぼ無くなったつけ汁に加わったそば湯と魚粉が醸し出すハーモニーはうっすら甘く、荒々しく傷つけられた口と胃を優しく包んでくれるのである。
これも是非ともお試しあれ。
ということで、久々に堪能した壬生の鶏そば。
『なぜ 蕎麦にラー油を入れるのか。』
の答えは、ただただウマいからである(笑)。