以前、『空から降ってくる音楽との付き合い方』というエントリーをアップしたことがある。(2015/07)
2015年夏に勃発した国内向け音楽ストリーミングサービス開始!の視聴期間を終えて、再度『Apple Music、GooglePlay Music、KKBOXで未だに迷い道クネクネ。』(2015/11)というエントリーもアップした。
かなり先行してサービス提供していたKKBOXに2015年夏のストリーミングユーザ獲得戦争に参加したAWA、LINE MUSIC、Apple Music。ちょっと遅れて参画したGoogle PlayMusicと一通り視聴期間に試してみた上で、結局捨てられないのがApple Musicと。
それ以外はその時々の気分によった結果なんだろぉ~けど、残りそうなのはKKBOXにGoogle Play Musicくらいか?と。
そんなところで落ち着くかと思いきや、ふとした好奇心でどっぷりはまってしまったのがSpotify。
このSpotify体験を通じて、音楽ストリーミングサービス使い方について勘違いしていたのではないか?と思うようになったのだ。
これまでボクの中では音楽ストリーミングサービスは、所詮無ければ無いでもいいもの程度のモノであったということ。
それは本ブログでの音楽ネタで何度か触れている通り、第三世代iPodを手にし、それ以来育て上げてきたiTunesライブラリがあるからである。
ほぼすべての曲にはレイティングがされており、レイティングに応じたお気に入りの曲のプレイリストはまさに自分専用の有線放送曲であるからだ。
ライブラリのすべてを持ち歩けるほどiPhoneの容量は多くないモノの、レイティングが『★★★★』以上の曲だけであれば、iPhoneの中に全曲入れて持ち歩けるのだ。
たまにレイティングに引っかからない曲を聴きたいと思ったとしても、iTunes Matchに加入しているため、iPhoneの中に無いボクのライブラリはiTunes Matchを介して空から降ってくるのである。
ボクにとって雲の中にあって空から降ってくる音楽とは、自分のライブラリの曲の範囲を超えたものではなかったということだ。
だから、Apple Musicにしろ、GooglePlay Musicにしろ、KKBOXにしろ、ボクのライブラリと比べて如何に同等のレベルを備えているかという比較対象でしかなく、そういう意味で音楽ストリーミングサービスを利用している限り、ボクのiTunes Matchのライブラリを越えることはないのである。
音楽ストリーミングサービスに関してはそんな聴き方をしていたため、どれも帯に短し襷に長しな感じで、なかなかこれっ!といった踏ん切りがつかなかったんだと今になって思うのだ。
それが、Spotifyを聴くようになって、なんでこれまで音楽ストリーミングサービスを純粋に楽しめなかったのか気付かされた。
以前Spotifyのエントリーでも触れたとおり、Spotifyの最大の強みは『膨大な音楽データベースと全世界に渡るユーザ視聴の動向を分析した上で、個々のユーザ嗜好に沿った音楽を提供する』ことにある。
自分の知らない『外』の世界。それも自分好みなまだ知らぬ『外』の世界を提供してくれるのが、音楽ストリーミングサービスの醍醐味なのではないだろうか?<当たり前のことでいまさらですが...(^^;)ハハハ。
自分はいつから過去から蓄積された音楽の中でしか、音楽を楽しまなくなったんだろう?
一番音楽に時間とお金の多くを費やしていた頃は、もっとワクワクしながら聴いていたはず。
ケツの青い桃色少年のボクはどんなふうに音楽を聴いていただろうか???
ボクと音楽との蜜月時代は中二から20代の前半あたりまでだったと思う。
いまのボクのライブラリの中身もその時代に買い込んだCDを取り込んだモノが大部分を占めている。年代でいうと80年代~90年代ものがリアルタイムのメインであり、遡っての70年代コレクションがほとんどである。
今となっては懐メロコレクションだ...(^^;)ハハハ。
まず音楽にのめり込むにあたってのきっかけは、音楽好きな同級生や近所の上級生の存在だ。
そんな友達が持っているアルバムを聴かせてもらって、中二の頃に一気に洋楽にハマることになる。
ボクがハマった頃はアメリカのビルボードチャートとかでは明らかにブームと言われる流行事象が起きていた時期とぴったりと重なる。
アメリカの音楽チャートのTop10のほとんどをイギリスのアーティスト(デュランデュランやカルチャークラブ等々)が占めていた第2次ブリティッシュインベンジョンと言われた時期である。
一組好きなアーティストが出来るとそれに関連した別のアーティスト、さらにはその好きなアーティストのルーツといったように、横にも縦にも繋がりがどんどん広がり、次から次へと新しい出会いに満ちていた。
そういった情報は音楽仲間はもちろんのこと、やがて音楽雑誌やFMラジオの番組を通じて自分で開拓していくことになる。
音楽仲間がまだ知らないだろうアーティストやアルバムをいち早く仕入れて、それを聴かせて優越感に浸る。そんなことをお互いに繰り返しながら、お互いのライブラリを増やしていくことがこの上ない喜びだったのだ。
昔は何よりも貪欲にまだ出会っていない音楽をいかに探すか?どうすれば無駄なく自分好みの音楽に出会えるか?そのための情報をどこで手に入れるのか?
いまにして思うとよくそんな時間とお金を音楽にかけていたなぁ~と思うワケではあるが、とにかく新しい出会いを繰り返すことによって、自らのライブラリの新鮮さを保っていた。
それが、いつのまにかそんな時間もお金も音楽にはかけないようになり、過去に育てたライブラリの中だけで、自分の好きな音楽だけを楽しむようになってしまっていた。
なにかが足りないのは、ライブラリの鮮度なのだ。鮮度を保つには新しい情報、まだ出会っていない音楽が必要なのである。
でも、今の年齢でケツの青い桃色少年の頃のような時間を音楽に費やすことはできない。
でも、それを可能にしてくれるのがSpotifyなのである。
でも、いま国内でも聴けるSpotifyはまだまだ完全な状態ではない。
それはまだ国内サービスを正式に開始していないんで、邦楽はほぼ対象外になってしまうから。
しかし、いつの日かやってきてくれるであろうその日を期待しつつ、かつSpotifyの持つ可能性に掛けてみたいと思わせるだけのサービスをSpotifyは持っている。
まず、音楽との出会いに必要な機能・サービスとは?
なによりも、クラウドサービス前提の音楽ストリーミングサービスでは『レコメンド』の精度である。
今現在提供されているどのサービスもプレイリストを重視している感がある。
しかし、このプレイリストに必要なノウハウは何と言ってもレコメンド機能なのだ。
これは、その昔友達といかにかっこいい音楽を先に見つけて紹介するかということに似ている。
それが今となっては、音楽好きな親友の役割を音楽ストリーミングサービスが担ってくれるのである。
なかでも、Spotifyのレコメンド機能は素晴らしい。他のサービスの頭2つ3つ、いやそれ以上のモノがある。
ブラウズメニューに表示されるプレイリストはその曜日、その時間帯にマッチしたプレイリストをレコメンドしてくれる。
これだけでも、新しい音楽との出会いという面では聴ききれないほどのプレイリストを提示してくれる。
こんなこと他のサービスでもやっているが、Spotifyのレコメンドの精度はやはり抜きんでている。現在のところ洋楽限定なのが悲しい限りですが...(^^;)ハハハ。
また、他のサービスにはないSpotifyならではのサービスとしては『Weekly Discover』である。
これは個々のユーザの視聴履歴に応じたレコメンドを毎週月曜日にユーザ専用のプレイリストとして配信してくれるというものである。
このレコメンドの精度がたまらないのである。まさに痒いところに手が届くというか、ビッグデータ解析のたまものであろう。
毎週自分専用のオムニバスアルバムがプレゼントされるようなモノだ。これは継続してSpotifyを聴かす!という意味ではキラーコンテンツであろう。
Spotifyとの出会いにより、雲の上に上げた自分のライブラリを中心に音楽を聴くということから、以前のように能動的に雲の上の知らない音楽を積極的に聴くようになってきた。
もう同じクラスにはいない音楽好きな親友を雲の上に見つけたような心境なのである。