そのむかし、まだ80年代も後半戦の頃、大学入学とともに上京してきた青二才の田舎坊主だったボクにとって、ラーメンは醤油・塩・味噌くらいしか喰ったことが無かったのである。
なにせ、中華屋さんのラーメン以外にラーメン専門店ともなると札幌ラーメンのお店で味噌ラーメンを喰うだけでハァ〜ハァ〜していたくらいの選択肢の無さ加減だったのだ。
そんなラーメンチェリーボーイが大都会東京で初めて出会った醤油でも塩でも味噌でもないラーメンが、桂花の太肉麵だったのだ。
その衝撃たるやこれはほんとにラーメンなのかっ!?と。豚骨ラーメンとの初めての出会いでもあったのだ。
何事も『初めて』となるといつまでも記憶に刻み込まれるモノである。
そんな桂花の想い出も甘酸っぱい青春の記憶とともに未だにボクの思い出として刻み込まれている。
当時通ってた桂花は新宿の新宿通りのみずほ銀行(当時は富士銀行(笑))脇の路地を入ったところの店舗。
まだあそこに桂花はあるんだろか?
小さな狭い店舗で、当時の桂花は大人気店。連日お昼時ともなると行列必至のお店だったにも関わらず、ボクは週一くらいのペースで通い続けていたのである。
そんなラーメンチェリーボーイも桂花のおかげで一皮剥け、その後いろんなラーメンを食して廻るウチにいつしか桂花への足が遠のいてしまったが、そんな桂花と再び出会ったのが、池袋の立教通りに桂花が立教通り店を開店させた頃だった。
久々の桂花に胸躍らせて食べに行ったが、その後それほど経たない間にその立教通り店が閉店してしまったのである。
ちょうどその頃、桂花の民事再生法申請報道があり、あ゛ぁ〜だからかぁ〜でももう桂花の太肉麵喰えないのかなぁ〜なんて昔を偲びつつ幾星霜......。
その民事再生法申請騒動から6年。再び池袋の地に舞い戻ってきたボクの目の前にまた桂花が復活しているのであるっ!?
しかも、今度は通勤路の西口一番街にっ!?
毎日桂花の前を通り過ぎて、職場に出勤し、家に帰るのである。
これは一日も早く太肉麵と再会せずにはなりますまいっ!
ということで、桂花である(笑)
メニューは昔と変わらず。鉄板のラインナップである。
そして、
『少なくとも三回、召し上がってみてください。』
の但し書き。
たしかにそぉ〜なのだ。桂花のラーメンはクセがないよでクセがある。
だから一回食べたくらいではこれは口に合わないという人も多いのだ。
でも、言われるがまま三回食べてみると、その麻薬じみた味の虜になるのである(笑)
券売機で食券を買って、店内へ。
店内はカウンター8席程度にテーブル席が5席くらいだったろうか。
昔通った新宿店に比べると広々である(笑)
よくよくメニューを見てみるとちょいと初見なメニューがあり。
太肉麵と桂花拉麺には細麺タイプもあるよぉ〜です。
この日注文したのは当然のことながら太肉麵!
なにはともあれ太肉麵なのですっ!!
太肉麵が太肉たる所以のこの角煮。
肉と脂身のストライプ。トロットロの角煮はどこをとっても旨いの一言。
学生時代のボクの衝撃の一つが太肉だけではなく、この茹でてない生のキャベツにかかった馬油。
このニンニクのパンチの効いた馬油に一発で虜になってしまったのはいうまでもありません。
そして、当時味わったことのない、これまで食べてきたラーメンの麵はなんだったんだっ!?!?と思ったこの麵も衝撃的でした。
この麵は今となっても他に類を見ないですなぁ〜。
コシがあるとか、ツルツルモチモチとかいうのではなく、強いていうならスパゲティのよぉ〜なアルデンテのシコシコ。
ラーメンの麵てあまり噛まずに飲み込んで喉越しを楽しんだりもしますが、この太肉麵の麵はよく噛んで味わいます(笑)
ちょっと変わったと感じたのがスープ。
昔の太肉麵のスープっても少し白っぽかったはず。馬油が溶け込んでもこんなに茶色いあんばいにはならなかったはずだよなぁ〜と
それと味も、も少しクセがあったハズなんだけど、全体的にクセが薄まりマイルドになった感があり。
とはいえ、太肉麵の味は味。
昔に比べるとラーメンの選択肢も増えたんで、桂花ばかりに拘ることはないですが、とはいってもやはり旨いモンは旨いなあ〜と久々の太肉麵を味わい尽くしたのでございました。