二眼レフカメラに夢中だった今年の夏。
思い返せば、思いつきで購入した学研大人の科学。
まるでトイカメラな二眼レフでもその左右逆像でスクリーンに映し出される景色に魅了され、もっとちゃんとした二眼レフカメラを手にしなければ!と我が業が騒ぎ出すのにはさほど時間はかからなかったのです。
以降、RolleiflexにRolleicord。その各種アクセサリーにさらには鉄のカーテンの向こう側、チャコスロバキア製のFlexaretと、まるでなにモノかに取り憑かれたかのように二眼レフカメラとともに過ごした今年の夏......。
二眼レフカメラのなにが良いって、レンジファインダーカメラのような素通しの実像でも無く、一眼レフカメラの小さなファインダースクリーンとも違う、ウェストレベルファインダーで下を見ながらファインダースクリーンに映し出される左右逆像の像が、目の前の世界とは違った世界を見せられているかのような体験と言っても良いでしょうか?
なれるまで大変かもしれないけど、慣れてしまうと公の世界とは異なる自分だけの世界がスクリーン上に写し出されているかのような、そんな気にさせてくれるところがハマった要因かもしれません。
さらには、システムカメラというワケでも無く(MAMIYAとかレンズ交換出来るタイプもありますが)、レンズ沼にハマらなくて済むという効能も...(^^;)ハハハ。
しかしっ!?気がつくとGAKKENFLEXを含めると4台モノ二眼レフカメラがっ!?これではハッセルブラッドのような中判一眼レフカメラに行かなかった理由にならないではないかっ!!
でも、もっと見やすいファインダースクリーンをもつ中判カメラだったら、さらにいい画をみせてくれるのではあるまいか?
といつしか二眼レフカメラ熱から中判カメラ熱に罹患しているボクなのでした......。
気がつくと、黒灰色の金属の塊が我が家に...(^^;)ハハハ。
かの吉野善三郎氏が私財を投じて作り上げた夢のカメラ、1958年に完成した『Zenza BRONICA』から7年後の1965年に登場したロングセラー機『Zenza BRONICA S2』をお迎えしてしまったのですっ!?
こっちには足を踏み入れるまいと夏が深まる前に固く誓ったのに...(T^T)涙。
そんなZenza BRONICA S2ですが、当時プアマンズハッセルと言われていたらしく、パッと見はハッセルブラッドのようなシュッとした感ではない、四角いのに丸みを感じるずんぐりむっくりな直方体。
レンズ左下にシャッターレバー、安全装置付きに右下は手動絞りボタン。
スクリーン上は絞り開放状態で見えてますが、この手動絞りボタンを押下すると設定した絞りの状態でスクリーン上に写し出されます。
上から見ると『Z』の文字の部分がピントフード。
その右側のフィルムバック部分にあるのがフィルムインジケータマスク。なにする機能というよりも、ここにフィルムの箱の一部を差し込んでおいて入っているフィルムの区別がつくようにしておくポケットみたいなもんですね。
背面はフィルムバック部分。ボディにフィルムバックを付けたままでも裏蓋を開くことが出来ます。
正面から見てボディ左側にはフィルム巻上のクランク。フィルムバック左側にはフィルム切替(120フィルム↔220フィルム)レバーにフィルムカウンター。
正面から見てボディ右側にはシャッタースピードダイヤルに左上にあるのはシンクロターミナル。
底面には三脚取付孔。
このS2が発売されていた当時は、レンズはいまでいうNikonの以前のNippon Kogakuが供給していたんですね。
なのでNikkor 75mm F2.8が付いていました。
ボディ正面左上にあるヘリコイド着脱ボタンを押しながらレンズを外してみたミラー部。
やはり中判カメラらしく大きなレンズですが、レンズはヘリコイド部とレンズ部にさらに分かれるんですね。
このヘリコイド部は他の焦点距離のレンズと共用だったりするみたいです。
シャッタースピードはB、1秒から1/1000秒まで。
Zenza BRONICA S2といえば、その重量級の図体とともに有名なのはシャッター音!
バシャコンッッッ!!と響き渡る様は、かの源平合戦初期の富士川の合戦においても、源平の戦いを収めようと川岸に潜んだ戦場カメラマンの不用意なこのシャッター音で、富士沼の水鳥が反応して、一斉に大群が飛び立ち、その音を源氏の奇襲と勘違いした平氏が一目散に退却をし、その後の平氏滅亡のキッカケともなったといわれるいわく付きのシャッター音(笑)
でも、残念ながらフィルムが入っていないとシャッター切れないんですよね。
なので空シャッターが味わえません。
絞りはレンズ部で。ピントはヘリコイドのリングを回して合わせます。
フィルムを巻き上げるときはクランクを出してグルグルと。
初めてのユーザにはちとビビる所作はまた後ほど(笑)
フィルムバック部分の24枚撮り切替装置。220フィルム無き今となっては24に合わせることはないんでしょうね。
下がフィルムカウンターです。
ボディとフィルムバックの間に刺さっているのがフィルム感光をふせぐ引蓋。
撮影する際にはこの引蓋を引っ張り出します。引蓋が刺さっている状態だとシャッターが切れない安全装置が働くという機構が備わっているのです。
ちなみにフィルムバックを取り出す際には、この引蓋をこのように押し込むとロックが外れる仕組みになっているのです。
けっこうこういう機能のデザインが手が凝っていますね。
フィルムバックのボディ接面側。左側にあるギアでボディのクランクの動作とフィルムバックの動作が連動します。
こちらはボディのフィルムバック接面側。右側にあるギアでフィルムバックのフィルム巻上の動作が連動します。
ちなみにZenza BRONICA S2はフォーカルプレーンシャッターなんで、この黒い布幕はくれぐれも傷つけてはいけません!
ピントフードの→方向にレバーを引くとピントフードが立ち上がります。
上から覗き込むウェストレベルファインダー。
蓋の裏側にルーペがあるのはわかっているんだけど、これをどうやって出すのか全然わからず......。
なにかに引っかかっているようで、ちっとも動く気配無し!?
ガシャガシャしているうちに偶然ルーペが立ち上がったんですが、これにも小粋な仕掛けが。
このようにピントフードの前後を抑えてちょっと押すと...。
ロックが外れてこのようにルーペが飛び出てくる仕掛けになっていたのです!
こういうカラクリ、好きです(笑)
ちなみにファインダースクリーンの写りはどうかというと、写真ではボケちゃってますが、実際はこれまでRolleiやflexaretでみてきたファインダー越しの世界とはまるで違う写りに感動なのです!
これは二眼と一眼の違いというよりも、ファインダースクリーンの材質の違いなんですかね?
まさにスクリーン浮かびあがるように写し出される世界を見ているだけでも幸せになれます(笑)
ピントフードを外すとこんな感じにスクリーンが現れます。
そして、慣れるまで大変そうなのがフィルムの装填!
まずはフィルムバックのフィルムインジケーターマスクを上げて、後蓋開閉レバーを『O』の方にずらします。
ちなみに『O』がOpenで『C』がCloseですね。
すると裏蓋がカパッとこのように開きます。
さらに中枠の中央にある2つの中枠固定用ツマミを摘まんで、中枠を引き出します。
引き出された中枠はこんな感じ。下が新しいフィルムを装填する部分で、上に巻取用のスプールを取り付けます。
中枠の下側にこのように120フィルムを取り付けて、中枠の外側を半周するように廻して、
反対側に来たら、巻取用スプールの下を通して、中枠の中央側から巻取用スプールのスリットにフィルムの端を差し込みます。
するとこんな感じに。
このフィルムセットが何かと面倒くさい。外で撮影中にフォルムを取り替えるとしても、ちと外でこのフィルム交換出来る自信がありません...(^^;)ハハハ。
そして、フィルム側のSTARTマークが中枠の赤丸のところに一致するまで巻取スプール側で巻き上げます。
でも思っている以上に早くこの位置になってしまうんで、巻き上げすぎないように気をつけましょう!!
フィルム位置がセット出来たら、中枠をフィルムバックに装着します。
この時セッティングが甘いと、中枠のツマミの部分とツマミの軸についているグレーの線が合っていないことになるんで、コレが合うようにきちんとセットしましょう。
後蓋を閉じてフィルムセット完了です。
そしてボディにフィルムバックを装着して準備完了!!
撮影するにはフィルムの一枚目をセットしなければなりません。
クランクををグルグル回しましょう。
思った以上に廻すことになりますが、しばらく廻すと重くなります。
がっ!?!?
これで終わりではありません。ここで終わってくれた方が精神安定上いいと思うんですが、この状態ではシャッターチャージが出来ていないんですね。
シャッターチャージをするにはこの重くなってからさらにバキッ!!と、あ゛っ!?壊れた?と思うような音にめげずにもうひとガンバリしましょう(笑)
このバキッ!!でシャッターチャージが完了になります。これいちいちドキドキします...(^^;)ハハハ。
フィルムカウンターが『1』となれば撮影準備完了です。
後は露出を決めて、ピントを合わせてシャッターを押しましょう!
あ゛っ!?先ほどの引蓋を取ることを忘れずに(笑)
ちなみに本体に合わせて買い足したのが、予備のフィルムバックと純正ストラップ(笑)
いちおう24枚分あればお写ン歩くらいはなんとかなるかなと...(^^;)ハハハ。
が、安さだけで買い足したんでボディ白、フィルムバック黒のパンダ仕様に...(^^;)ハハハ。
S2って黒もあったんですね?
そんなこんなな善三郎翁のZenza BRONICA S2。
重い!音がでかい!!と周囲では不評な麵もございますが、なにかと小粋な機構とNikkorのレンズでどんな画を写し出してくれるのか?
また一つハマりそうな沼が目の前に口を開けて待っているよぉ〜な気がしてならない今日この頃でございます...(^^;)ハハハ。